「スポーツをやればまた心の底から笑える」北京パラリンピック銅メダルの森井大輝が絶望の時に出合ったチェアスキー～リポビタン for Sports presents「The Deep」～

　5月15日（日）20:00～、スポーツライターの金子達仁氏がパーソナリティーを務めるニッポン放送のリポビタン for Sports presents「The Deep」の第24回放送で、パラリンピックに6大会連続出場し、今年の北京で銅メダルを2個獲得したアルペンスキーの森井大輝（トヨタ自動車）が登場した。

　スキーのことを聞く前にシリアスな質問をさせてください。高校2年生のときの事故はどういうものだったのですか？

「期末テスト1週間前に気分転換のため50ccの原チャリでツーリングをしているとき、気が付いたときには道路で血まみれになって倒れてました。僕も記憶がなくて、現場検証したお巡りさんは、“スピードの出し過ぎじゃないか？”と言ってました。誰も見ていなくて、後ろから走ってきた先輩が僕のことを見つけてくれました。今でもあのとき何が起きたんだろうと不思議に思うことがあります」

　事故が自分の体にもたらした影響を知ることになるのはいつ？

「そのままヘリコプターで緊急病院に搬送されて、その日に手術をしてもらいました。翌日、目が覚めると体中が管だらけで点滴、酸素などが注入されている状態です。パッと目覚めて、“良かった！生きてて！”と思ったんです。でも、ふと気づいたら下半身がついている感覚がなかったんですね。おへそから下の感覚がない。看護師さんが来て、“良かった、意識戻ったのね！”と色々状況を教えてくれました」

「でも、1時間、2時間、3時間経過しても足の感覚がない。フッと自分の足元を見たら、感覚はないけど足が真っすぐに伸びているんです。頭の中では足を曲げているような感覚がある。目で見た足の位置と、実際の感覚が違うのを見て軽くパニックを起こしました。そこでまた体に何かを入れてもらって寝てしまいました。次に目が覚めたときに、医者が僕の体のレントゲンと脊髄の模型を持ってきてくれたのですが、レントゲンを見たときに“なんだその背骨は？”となった。アニメのように折れているんです。“今の医学だと君をまた歩かせることはできない、ごめんね。一生、車いすの生活だから”と言われて、初めて自分の状況を知りました」

　自分の状況を知った高校2年生の森井は？

「物凄く深い海に突き落とされたような感じです。空気がいきなり物凄く重くなったような。3日くらいは泣き崩れてましたね。でも、そのまま泣いているわけにもいかない。自分の夢はすべて諦めなければならなくなり、リハビリ専門の病院に移っても覇気がないんです。リハビリの先生に対しても“どうせこんなことやったって歩けるようになるわけじゃないんだから”とへそを曲げてました。すべての言葉に対して斜に構えてしまって、真っすぐに聞けないような状況のときに、長野パラリンピックを見たんです」

　98年ですね。

「はい。チェアスキーの選手たちのアグレッシブさにも驚いたんですけど、一番驚いたのは、僕と同じ障害を持った選手たちがゴールエリアでみんな笑ってるんですよ。国など関係なく、みんなで抱き合ったり、ハイタッチしたりしている。たとえば、お見舞いに友達が来てみんなでくだらない話をしてケラケラ笑っているときは、どうしても心の底からは笑えず、作り笑いしかできなかったです。でも、スポーツをやれば、チェアスキーをやれば、またああやって心の底から笑えるようになれるんじゃないかって思いました。そういう想いでチェアスキーをやろうと思った。それまでは凄く退屈で“やらなくてもいいや”と思っていたリハビリが、“これはリハビリじゃない。チェアスキーをやるためのトレーニングだ”という意識に変わった瞬間、凄く真面目に取り組むことができるようになったんです。あ、人間って考え方ひとつなんだなと思いました」

スタジオに登場して下半身の大怪我をしたときの状況、今年の北京パラリンピックについてなど軽快なトークで語る森井大輝

話は変わりますが、栄養摂取で気をつけていることは？

「基本的には一汁三菜をバランスよく摂ることが凄く大切だと思っています。でも、僕は野菜嫌いなので、そこにプラスアルファでビタミン類を補助食品から摂取して体のバランスを保つようにしています」

　今年の北京パラリンピックを戦う中で感じた難しさ、北京の雪質、チェアの秘密など、森井の話をさらに詳しく聞きたい方、今回の放送を聞き逃した方は無料アプリ「radiko」でタイムフリー機能を使えば、放送1週間後まで聴取可能となる。

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