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2022-05-18

【アメフト】オービック加入のWR中村クラーク「純粋にずっとリスペクトしていた」インタビューで大型移籍の心中を率直に語る

宿敵だったオービックへの移籍。中村クラークがじっくりと語った=撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールのXリーグ屈指の快速レシーバーとして活躍してきた富士通フロンティアーズの中村輝晃クラークが、今季からオービックシーガルズでプレーすることになった。ファンや関係者が皆驚いた移籍劇。5月15日、アサヒビールシルバースターとの間で開催された公開練習の後に、中村クラークにじっくり聞いた。

 フロンティアーズへの愛、フットボールへの愛、そして新天地オービックでの活動に胸をときめかせる、34歳のベテランレシーバーとの一問一答をお読みいただきたい。


--最終的にオービック加入を決めたのはいつですか?

◇中村クラーク:今日(5月15日)がオービックに合流して3週末目です。その1週間前に、移籍することを決めて、大橋さん(誠ヘッドコーチ)に連絡をしましたので、ちょうど4週間前の4月23日です。
そこから1週間は、移籍のための手続きを行ってチーム(オービック)に合流しました。

--現役を続行したいという気持ちはずっとあったのですか?

◇はい。フロンティアーズへは退団の意思表示と併せて、まだ現役選手としてアメフト界に貢献していきたい旨伝えさせていただいておりました。

--同じフロンティアーズのWRでは、宜本潤平がノジマ相模原ライズに移籍したことは関係してますか?

◇たまたまタイミングが同じでしたが、直接は関係ありません。ただ、長年一緒に戦ってきた戦友なので彼の移籍で刺激を貰ったというのは事実としてもちろんあります。お互い同じようなことを考えるタイミングだったということだと思います。

--まだやれるという自信があるのですね。

◇自分自身としては、まだ体も動くので自信もありますし、まだ現役を退くには早いと思い頑張ろうと思っています。

--オービックを選んだ理由は?長年の宿敵であって、おそらくこの10年、このチームを倒すためにクラーク選手は生きてきた、と言っても言い過ぎではないと思いますが。

◇富士通にいながら、純粋にずっとリスペクトしているチームでした。自主性も高くすごく魅力的なチームだと思っています。自分が環境を変えて(選手生活を)続けたいとなった中で、楽しくという気持ちと同じくらい「強豪チームに行けたら」という新たな気持ちが凄くありました。
さらに、長年のライバルだったので、逆にライバル側から富士通を見る、あるいはXリーグを見る、アメフト界を見るということも、すごく興味深かったです。
チームを変わるタイミングとしても、アメフト界にとって『オービックがいいな』とも思いました。

--具体的な選択肢として頭に浮かんだタイミングは?

◇昨シーズンのライスボウルが終わって、現役を続けるかどうか検討している中でという感じです。

--オービックは、WRで木下典明が負傷からの復帰が遅れているとか、前田眞郷が引退したとか、タテに速いワイドアウトが手薄になっている部分があります。そこは選択の上で頭にありましたか?

◇それを理由にオービックを選んだというのは、まったくありませんでした。実際に練習に参加してみても、若手選手が頑張ろうとしている印象で、自分が何か良い影響を与えて、彼らが成長するきっかけにもなれたら良いなと思いました。

--3週末目ということは、チームに合流して練習は6日目。その中で新鮮に感じることはありましたか。

◇とにかく自分の気持ちが凄く変わりました。長年同じ環境にいたので、新しい環境と仲間で改めて『優勝したい』という気持ちが凄く強く持てています。この仲間と一緒にアメフト界にさらにいい影響を与えたいと。なので環境を変えたことが、僕の中ではすでに成功だと思っています。

--入団を決めた時の大橋さんの反応はどんなでしたか。

◇実はかなり長い間に渡って大橋さんには色々な話を聞かせていただいたり、聞いていただいたりしました。また、古庄さん(直樹アシスタントHC)や、矢部(寛之)オフェンスコーディネーターともお話をさせていただきました。この期間はたくさんの方の想いを知ったり、逆に自分の想いも知ってもらえたりと、すごく今後に繋がる有意義な時間となりました。自分が悩んで決められないことも尊重していただき、かなり長い間お待たせしてしまいましたが、回答出した際は純粋に喜んでいただけた印象で、自身としても嬉しかったです。

--決め切れなかったのは、フロンティアーズへの愛みたいなものが当然あったのでしょうか?

◇フロンティアーズを離れるということは、自分の中では残念でした。力がある限りフロンティアーズでというのが、元々の気持ちだったので。まさかこういう移籍という展開になるとは、なかなか想像できていませんでした。すごく好きなチームですし、たくさんの良い思いをさせてもらって今も感謝の気持ちでいっぱいです。今回の移籍でも、私のわがままを聞いてもらいました。

--モチベーションの部分で言うと、やはりコービー・キャメロンが米国に帰って、あの「蜜月」というかXリーグ1のホットラインに匹敵するものは、その後のマイケル・バードソンとにしろ、高木翼とにしろ、築けていなかったと思いますが。

◇結果から見て、そうなってしまうかもしれません。それは、そう受け止められてもしかたないと思います。ただ、自分としては、バード(マイケル・バードソン)や高木とも、きちんとコミュニケーションは取れていましたし、とても良い関係を築けていました。試合で、フィールドで、結果を残せなかったというだけです。

--若手レシーバーが育っていましたからね

◇そうですね。そこは見ていても嬉しいことでしたし、チームにとっては大きかったです。

--基本的に、移籍は良いことだと思っています。NFLでも、トム・ブレイディのように移籍して新たな世界を作った例がある。

◇まだ、アメフト界に貢献していきたいというのが、第一だったので。僕自身、本当に良かったと思っています。今こういう環境にいることができているので、まったく後悔もないですし、ありがたいです。

--WR木下とチームメートとして一緒に戦えることはどうですか。

◇それはもう本当にうれしいことなんです。当時高校生の時にテレビで見ていたノリさんと同じチームでできるなんて。ディフェンスでは(DBの)藤本(将司)さん。ずっと対面で戦ってきました。その他にもライバルとしてずっと戦っていた選手と一緒に今やれていることはすごく幸せというか、なかなかできない体験なので感慨深いですよね。本当にありがたいです。

--QBのジミー・ロックレイのパスはどうですか。

◇本当に良いボールを、良いところに投げてきますね。今日マンツーマンでも、ストリークを投げてもらいましたが「ああ、いい球投げるな!」と思いました。肩強いですし、それでいて捕りやすい。QBでは、小林(優之)君も凄くいいですね。

--DEの平澤徹のように、他チーム(ディアーズ)から外様で入ってきて、今やディフェンスの中心の1人という選手もいます。

◇平澤は同期です。あとWRでは池井(勇輝)も。彼らと一緒にやれるのもすごく嬉しいです。

--秋の富士通戦、楽しみなのですが、どんなメンタルで臨みますか。

◇やっぱり強いチームだというのは、中にいた身として分かっているつもりです。選手層も厚いですし。厳しい試合にはなると思うのですが。これは富士通戦に限らず、自分らしいプレーができたら、おのずと勝利に近づけるのではないかと思っています。富士通戦だけでなく他の試合も含めて一生懸命やっていくだけです。

とにかく、オービックというチームに、「クラークが来て良かったよね」と思ってもらえるように頑張っていくと、自分で決めているので。

--ハドルの中で、自ら求めて発言をしていたけれども、そういう気持ちの表れですか?

◇そうですね。他チームから来た人間として、長い経験があるからこそ感じることなどもある。そういうことを伝えていかなければいけない立場だと思っているので。積極的に思いを伝えていけたらと思っています。僕はそんなに人の前に立って発言するタイプではないのですが、いろいろなことを考えているし、年齢的にも伝える立場だと思っているので。自分の考えを上手く伝えられたらと思っています。


リードボールのパスをキャッチする中村クラーク=撮影:小座野容斉

リードボールのパスをキャッチし、エンドゾーンまでは知り込む中村クラーク=撮影:小座野容斉

プレスカバーされる中村クラークだが、この後、易々とブレークする=撮影:小座野容斉

中村輝晃クラーク
なかむら・てるあき・くらーく

1988年9月4日生まれ 175cm/80kg
日本人の両親の元、フランスで生まれ、11歳までフランスで育った。帰国後、駒場学園高に入学してアメリカンフットボールを始めた。日本大学に進学後、U-19日本代表となり、さらに2009年のノートルダム・ジャパン・ボウルで、日本代表に19歳で選出された。
 卒業後は富士通に入社、フロンティアーズでリターナーやWRとして台頭した。2014年に来日したQBコービー・キャメロンのメーンターゲットとして能力が開花、このシーズンを皮切りに6回のライスボウル優勝(日本一)に輝いた。2017年シーズンの日本社会人選手権ジャパンXボウルでは、MVPを獲得した。この時の203ヤードレシーブは最多レシーブヤード記録として残っている。オールXリーグには2014、2016、2017、2018と4回選出された。

オービックの面々と語り合う中村クラーク。#18は木下典明=撮影:小座野容斉

記念撮影でも中央に。物おじはしない=撮影:小座野容斉

【小座野容斉】

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