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2022-06-12

【陸上】男子やり投でディーン元気が10年ぶり日本選手権王者に返り咲き「長かった。素直にうれしい」

ディーン元気(ミズノ)

オレゴン世界選手権代表選考を兼ねた第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)。最終日の12日に行われた男子やり投は、ロンドン五輪代表のディーン元気(ミズノ)が81m02を放って、早大3年生だった2012年以来10年ぶりのタイトルを飾った。

苦手意識があった日本選手権

「10年間長かったですね。素直にうれしいです」

3投目に優勝記録の81m02を投げトップに。投げの内容自体は「コメントできないくらいひどかった」と苦笑いし「やりと協調性のある流れるような感じの投げがなかなかできなかった」と振り返る。今季は木南記念で81m91、セイコーゴールデングランプリで82m18を投げるなど安定して記録を重ねてきた。「下向きだったり、悪かったりする投てきでも飛ばす力がついたという安心感はありますが、最低でも84~85mを安定して投げないと勝負できない」と言う。

2012年に日本選手権を制してロンドン五輪代表の座を射止めると、一気にファイナリストへと駆け上がった。当時はまだ早大3年の20歳。若手スロワーとして将来を嘱望されたが、その後は腰や脇腹の相次ぐケガに悩まされた。

2018年のリフレッシュ期間を経て、2020年のセイコーゴールデングランプリで「復活」。早大3年時に出した84m28に次ぐセカンドベストの84m05を放ち、ユニフォームを引きちぎって喜びを体現した。日本選手権は2年連続で2位に収まり「気づいたら苦手意識があった」と振り返るが、今大会で完全な「復活」を遂げた。

世界選手権の参加標準記録(85m00)は突破できなかったが、ワールドランキングによる出場の可能性も残っている。来週には「念願の試合」というダイヤモンドリーグ・パリ大会への出場も見込まれ、ポイントの上積みと記録突破への期待感も高まる。

気づけば30歳となり、ベテランの域へと差し掛かった。「20歳の頃はイケイケどんどんで怖いもの知らず。世界に向かっていくにはそういう要素も大事だと思うし、チャレンジャーの気持ちで挑みたい」。世界選手権出場が決まれば、ロンドン五輪以来、10年ぶりのファイナル進出を狙う。

文/荘司結有 写真/中野英聡

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