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2022-06-22

【大学駅伝】5年ぶりの伊勢路行きを決めた大東大。4年生・大野陽人が見せた「後輩ばかりには頼っていられない」の気概

満を持したスパートで3組1着となった大野

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第54回全日本大学駅伝の関東学連推薦校選考会(トラック10000m/計4組)が6月19日、神奈川・相模原ギオンスタジアムで行われ、大東文化大は5位で5大会ぶりの本戦出場を決めた。仙台育英高(宮城)出身のケニア人、ピーター・ワンジル(2年)が2組目で1着に入り勢いをつけると、続く3組目ではチームでただ一人4年生でエントリーされた大野陽人(おおの・はると)が強豪の東洋大、タイムを持つ創価大、東海大の選手たちを抑えて、”組トップ”でゴールした。

残り500m。トラックの最終コーナーを周り、先頭の神奈川大・小林篤貴(3年)が一気に前に出る。その後ろにピタリと食らいついたのは大野だった。ラスト1周の鐘が打ち鳴らされ、さらにペースは上がったが、まだしぶとくついていく。そして、第1コーナーを回った瞬間、熱気にあふれたスタジアムが沸いた。大野の腕の振りが速くなり、勝負をかけたのだ。後続の神奈川大、日本大、創価大をぐんぐんと引き離した。残り300mからは圧巻の独走劇。堂々の1着でフィニッシュラインを超えると、両ヒザに手をつき、ゆっくりと顔を上げた。

大野は粘り、食らいついてラスト1周の勝負に挑んだ 写真/高塩隆
大野は粘り、食らいついてラスト1周の勝負に挑んだ 写真/高塩隆

「今日は暑かったので、しぶとい走りをするつもりでした。どんなにきつくても前の選手について行き、自分の展開に持ち込っていこうって。過去の動画を見て、3組目、4組目のレース展開を研究し、ラスト300mから行こうと決めていました」

スタート時の気温は25度、湿度は76パーセント。大野も他の選手と同じように汗まみれになり、ユニフォームはぐっしょりと濡れていたが、レースを終えた後の表情は誰よりも晴れやかだった。

「うれしいですね。今までしんどい練習に耐えてきましたし、苦しい時期もありました。我慢して継続してきたから、たまたま『組1着』の結果が出たんだと思います」

大東文化大の出走メンバーで、唯一の4年生。最上級生としての自覚を持って走っていた。

「後輩ばかりには頼っていられないです。自分が引っ張っていかないといけない」

指導体制が目まぐるしく変わるなか、コツコツと努力を続けてきた自負がある。奈良修監督、馬場周太監督、そして今年の4月から指揮を執る真名子圭監督のもと、陸上の知識だけではなく、練習に取り組む姿勢など多くのことを学んできたという。

「僕は自分に合った練習ができていると思います」

今年1月には関東学生連合のメンバーとして、箱根駅伝に初めて出場。8区で出走し、区間13位相当の結果を残した。他大学のエースたちと過ごした時間も、何物にも代えがたい経験になっている。4年目を迎えた今季、駅伝に懸ける思いは強い。

「団結して、チームとして結果を出したいです」

まずは出場を決めた11月の伊勢路(全日本大学駅伝)。伝統のタスキを初めてつなぐことに思いをはせる。4連覇を含む通算7度の優勝を誇る名門の看板を背負い、復活をアピールするつもりだ。

文/杉園昌之 写真/高塩隆

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