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2022-07-02

長州力が前田日明顔面襲撃事件に言及「あの時、オレがとった行為は沈黙することだった」インタビュー再録後編【週刊プロレス昔話】

1987年11月19日、新日本後楽園大会で乱闘する長州力と前田日明

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1990年11月、新生UWFでフロントの金銭横領スキャンダルが起こる中、プロレス専門誌「週刊プロレス」が新日本プロレス・長州力を直撃。当時の編集長・山本隆司氏が革命戦士にUWF問題についてを聞いた。ここでは当時(1990年11月27日号/No.408)のインタビューを再録。今回は後編をお届けする。

――今回、UWFの分裂騒動については、どう考えています? ボクは起こるべくして、起こったと解釈しています。中国で予言していたでしょう?

長州 オレなんかが思うのは、Uはマスコミからさんざん持ち上げられた団体だよな。それがこんなこと(事件)になったら、どうなるんだ。怖いよな。

――どうにもならないと思う。もう終わりです。

長州 オレにも経験があるが、持ち上げられている時はいいよ。誰だって気分がいいはずだ。問題はそれを切られた時だ。

――持ち上げられたり、あるいは切られたりという世界を超越して、自分の立場を築いているのは(アントニオ)猪木さんと(ジャイアント)馬場さんの2人だけでしょう。

長州 それはいえるな。

――長州さんの場合、前田(日明)選手とは因縁深いものがあるので、今回のUの事件については、特別な気持ちがあるのでは…。

長州 確かにオレは、あの時のこと(顔面襲撃事件)は忘れていない。ただ、あの時、オレがとった行為は「沈黙する」ことだった。オレは猪木さんに言われたよ。「長州、オマエの悔しい気持ちはよくわかる。だが、何も言うな。しゃべるんじゃないぞ。沈黙してじっとしていろ」と。言われたように沈黙していると、確かに悔しいし、苦しいよな。でも、その時だった。初めてアントニオ猪木という人の内面が、オレに見えてきた。「これが、猪木さんなんだ」と。それはオレにとって、一つの発見でもあった。

――プロレスというのは、沈黙の中に真実があるんです。沈黙は敗北につながらない。むしろ、真実がある。ボクは、そう信じている。

長州 アレは、こうだった。実はこうなんだと説明したり、弁解しても、いったんある方向に物事が動き出すと、何を言っても無駄。プロレスにはそうした恐ろしさがある。猪木さんはやっぱり多くの修羅場をくぐってきているので、物事の見極めがいい。反論していたら、今頃、オレは後悔していたかもしれない。

――沈黙することの意味を、最初に発見したのは馬場さんですよ。ボクなんか、沈黙している馬場さんを見ると、心情的に連帯していく。そういう形で長州さんも、猪木さんと連帯していったんです。

長州 ところでUはどうなるんだ。

――一番見ていて不思議なのは、ファンを裏切ったという感覚が、Uの人に希薄なことです。すべてが鈍感になっている。ファンはバカじゃないですよ。時代がジャッジメント(審判)すると思いますね。

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