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2022-07-04

【ボクシング】「積み重ねて成長した姿で必ず勝つ」。井岡一翔、リベンジに向けて練習を公開

積み重ねた歳月の重みをぶつける!

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 13日、東京・大田区総合体育館で行われるWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦で5度目の防衛戦に臨むチャンピオン井岡一翔(33歳=志成)が4日、オンラインでの会見と公開練習を行った。挑戦者は2018年12月に王座決定戦で惜敗した前王者で同級1位のドニー・ニエテス(40歳=フィリピン)。世界4階級制覇者同士の対戦だ。

文_本間 暁 写真提供_志成ボクシングジム

 116対112、112対116、110対118。1-2のスプリットデシジョンで敗れた3年7ヵ月前の“マカオ決戦”。アメリカ進出も果たし、アグレッシブさをアピールするスタイルを築き始めた矢先の不覚だった。
 試合は世界最高峰を争うにふさわしい珠玉のテクニック・バトル。距離と空間を巧みに操る者同士の、数センチ、数ミリを探り合う展開だったが、わずかに届かず。結果はともなわなかったものの、だが、この戦いを経て井岡一翔のボクシングはいっそう明確に、骨太になった。それは、この後の戦いぶりにはっきりと表れている。

「前回の試合で自分を見つめ直して成長できている。具体的にどれがと訊かれても、ひとつではないから言葉にしづらいです」と井岡は語る。初回で向き合った相手の戦力を読み取り、“押し”と“引き”のバランスを保ちつつ、決してペースを渡さない。傍目から見れば劣勢に見える場面でも、実は相手をコントロールしている術など、ベースとしてきた匠の技を、さらにしっかりと貫く。スーパーフライ級を制してからの戦いで、実践できたことがさらに自信を深めることにつながっているのだろう。

派手さはないが、毎度唸らされるトレーニング
派手さはないが、毎度唸らされるトレーニング

「家族、チームのみんなの協力を得て、いい準備ができている。かなり良い状態に仕上がっています。これまで積み重ねてきた過程がある。そこに対しての自信。相手がどうではなく、自分自身がやってきたことをパフォーマンスで出したい」。同僚の比嘉大吾、ホープの飯村樹輝弥(角海老宝石)らを中心に、100ラウンド以上のスパーリングを重ね、着々と“求める自分”を体現してきた。あとはそれをリングで披露するだけ。そうすれば、自然と“ニエテス越え”は叶うはず。「必ず勝って、ニエテスと決着をつけます」。いつもどおり、落ち着いた口ぶりだからこそ“王者の強い意志”を感じさせられる。

 公開されたトレーニングは、ゆったりと、手の先から足の先に至るまで、全神経を集中させて機能させる体操から、流れるように移行していくシャドーボクシング。速さにこだわらない“井岡流”のスタイルは、見た目のみの派手さこそないが、抜群の安定感を支える礎をくっきりと伝えてくれる。3日後に来日するという名匠イスマエル・サラス・トレーナーとともに、長年築いてきたもの、プラス自らの追求によって形成されたもの。10日を切った“至高の戦い”が待ち遠しい。
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