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2022-07-20

棚橋弘至の新たな目標は“W字回復”全力プロモーションで感じた「戻りつつあるあの頃の日常」新日本プロレス歴史街道50年<番外編2>【週刊プロレス】

「G1」開幕1週間前、棚橋は大阪でプロモーションに努めた。テレビ生番組のCM中の一コマ

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「G1クライマックス」開幕を2日後に直前に控え、明治記念館でおこなわれえた記者会見では「ピンチの時には棚橋弘至。こういう時に力を発揮する男」と自信たっぷりに宣言していたものの、7・16札幌でアーロン・ヘナーレに敗れて黒星発進となった棚橋弘至。その自信は開幕を1週間後に控えた週末、大阪でプロモーションに奔走してファン、関係者から得たものだったが……。

7月10日、棚橋弘至は大阪・なんばSkyo(スカイオ)で開催されていた50周年展示会「シンニチイズム」でサイン会をおこなった。2部に分けて限定200人のファンと久々にゆっくり言葉を交わしたほか、展示会場にもサプライズ登場。設置されていたリングに上がって「『シンニチイズム』にお越しの皆さん、愛してま~す!」と叫んでファンのパワーを全身に浴びたほか、その前後には在版局のテレビ、ラジオに出演して「G1クライマックス」のプロモーションに努めた。

まず9日。16時台にFM COCOLO「SATURDAY MAGNIFICENT CAMP」に生出演。同番組には過去に何度も出演してきたが、ここ2年ほどはコロナ禍にあってスタジオ出演が規制されていたことから、加美幸伸DJとは久しぶりの顔合わせとなった。

冒頭では6月27日(現地所間)にシカゴでおこなわれたAEWとの合同興行の話。「会場は2万人の超満員で、日本ではいま歓声を送れないので2年ぶりに大歓声で迎えられるのを体感してきました。日本ももうすぐこうなるのかなぁって」と感想を述べた。そしてトークはコロナ禍における心の変化を吐露する流れに。

「あれもできないこれもできないっていう制約がずっとあった中で、そこでクサるんではなく、できることを見つけてやっていこうと思ったら、少し気分が前向きになったんです。それを言葉にしてみんなに伝えようと思った。もう1度聞きたい棚橋コール。だからその日までやれることは全部やります」

まだまだ日常には戻っていないが、「今は拍手でしか応援できなくなっていて。だったらレスラーからの熱量を上げてやればいいんじゃないかって。今まではレスラーから5、お客さんからの歓声で5、合わせて10になっていたものが、今の状況、拍手が2、3だとしたら、レスラーが7、8を出して合わせて10にすればいいんじゃいかって。僕らからの熱量、メッセージを大いに受け取ってほしいなと思います。この状況で声が出させるようになったら、お客さんの熱量が5になって、レスラーからの分を合わせると12、13に上がってこれまでを超える。日常に戻った時に爆発する準備はできてます」と、棚橋独特の会場論を展開した。

また今回の大阪でのプロモーション活動のように、スタジオをはしごするのも久しぶり。「2000年代後半からは大阪大会のたびにここ(局)に来て、入り浸ってました」と振り返る棚橋。当時はシリーズオフになるたびにプロモーションで全国を飛び回っていた。まだ“スイーツ真壁”が誕生する前で、その役割を棚橋が一手に引き受けていた印象。当然、練習時間を割くにも苦労するが、そのモチベーションとなったのが「男女問わず年齢を問わず楽しんでもらえるジャンルって少ないんですよ。だから家族で行けるエンターテインメントとしてプロレスって最高だなって。そしてそう思ってもらえるように」との思いだったことも明かした。

続いて話題は開幕が迫っていた「G1 CLIMAX」に。Cブロックに組み込まれた棚橋は、「各ブロックどれもクセがあるんですけども、僕目線でいくと同じブロックにはこの2、3年負けがついてる選手が多いのが特長ですね。同じブロックで決勝に行きそうなのは内藤かなと思うんで、内藤との直接対決(7・24大田区)が一つのポイントになると思いますね。内藤が苦手としてる選手も同じブロックに入ってるんで、1つでも星を取りこぼした方が苦しいと思います。今年は4ブロック制で各ブロック7人。去年までは各ブロック10人だったんで、今年は一つの勝ち星の重要度が高い」と分析して臨んでいる。

2007年、永田裕志を破って初優勝を果たした時、「俺たちの世代でもう1度、プロレスを爆発させます」と宣言。2015年、中邑真輔を破っての2度目の優勝では何度も感謝の言葉を述べていた。「あの時もう、中邑は海外に行くって言ってたので。あれが最後の闘いになりましたね」と振り返る。そして2018年、3度目の優勝では「愛してます!」を叫んだが、4度目の優勝ではどのような言葉が飛び出すのか。「『G1 CLIMAX』、ちょっくら優勝してきます」の言葉で生出演を終えた。

11日は午後からFM802「BRIGHT MORNING」の収録に参加。内田絢子DJと6・12大阪城「DOMINION」の振り返りから棚橋が選んだ夏ソングをオンエア、そしてこの夏にしたいことなどをトークした。その後はカンテレ「スローでイージーなルーティンで」に生出演。これまで関西では多くの番組に出演してきた棚橋だがTV出演は珍しい。

局入りするとメイク室へ。ビッグマッチ以外の試合会場では自身でヘアセットするが、せっかくだからと普段できない髪型を希望。リング上とはまた一味異なるおしゃれな逸材で番組に出演した。MCを務める見取り図、谷元星奈アナウンサーとのやり取りも絶妙。番組内では食レポ、エクササイズに挑戦。CM中にはディレクターと雑談していたが、ボディービルダーでもあるカメラマンと筋肉話が弾むなど終始、リラックス。エンディングでは西日本で開催される「G1 CLIMAX」各大会を告知した。

続いては場所を「FM OH!」に移動して「Music Bit」の収録。こちらも担当の遠藤淳DJとは約4年ぶりの再会。「G1 CLIMAX」はもちろん、先のAEW遠征、コロナ禍だからこそ初めて経験したこと、そしてそれを経たからこその今後の期待と話題は移り、「コロナ禍でデビューした若手は、まだ会場で自分の名前を呼んでもらってないんです。彼らが自分の名前を呼んで大声で応援してもらったら感動すると思いますよ」と、自身以外にも話は広がっていった。

「コロナで落ちたプロレス界をもう1回上げたい。“V字回復”って言いますけど、もう1回上げたら“W字回復”。1人のキャリアの中で2回復活させたレスラーはいないんで、それを成し遂げたいという野心はあります」と“100年に1人の逸材”らしくこの100年で初となるW字復興を誓って3日間に及ぶ連続プロモーションを終えた。

すべてのスケジュールを終えた棚橋は、「もう1回、新日本プロレスを盛り上げたいという気持ちがずっとあるんですけど、何もできない状況がずっと続いてたんで。でもこうやって少しずつプロモーションができるっていうのは、きっと未来のプロレス界につながることだと、ずっとそれを思ってやってきてたんですけど、その役目ももう終わったのかなっと感じてたんです。だけど、もう1回まわってきたなと思って。これからも引き続き、試合、プロモーション、SNSの発信、全力でやっていきます。あと、プロモーションにはベルトが必要不可欠なんで、次はベルトを持って。ベルトはプロレス界と世間をつなぐ唯一のツールなんで」と感想を述べたが、同時に逸材にとってはあの頃の日常に戻りつつあると感じる時間でもあった。

なお収録されたラジオ各番組は以下のスケジュールでオンエアされる予定。

・FM OH!「Music Bit」=7月25日(月)16:00~17:46
・FM802「BRIGHT MORNIN」=7月29日(金)6:00~12:00

※スタジオでの写真は撮影のためマスクを外しています。

橋爪哲也

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