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2022-08-15

【陸上】東福岡高が理論と実践で積み上げた、IHマイルリレー連覇への自信

4×400mRで2連覇を達成した東福岡高(写真/椛本結城)

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8月3日から7日までの5日間、徳島県・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムで行われた全国高校総体(インターハイ)陸上競技。大会最終日の男子4×400mリレー(マイルリレー)は、東福岡高(福岡)と東農大二高(群馬)が大接戦を繰り広げ、100分の3秒差で東福岡高が史上8校目の連覇を達成した。前回のインターハイも、100分の7秒差を競り勝って全国初制覇した同校。2年連続でアンカーを務め、接戦をモノにした冨永湧平(3年)には、「練習どおりにやれば勝てる」という自信があった。

「主将がメニューを作成」伝統を継承し、前人未到の3連覇へ
 
東福岡高は、普段の練習メニューを主将が組み立てている。今季は冨永が主将を務めており、チーム全体練習として「心拍が上がった状態でもスピードを維持できるような、400mを想定したメニュー」を多く取り入れていたそうだ。

と言っても、同校の校内には70mと140mの直線コースがあるだけで、カーブ走を取り入れられるトラックはないため、メインメニューはシンプルに50mや100mの往復走が中心。そのなかでも運動生理学など理論的な考察からレスト時間を計算し、日々のトレーニングで400mを強化してきたという。

さながら大学生のようなメニューの立て方だが、それを高校生で実践できるのは、運動処方を専門としていた植木貴頼先生の指導が影響している。

「たとえば血液とトレーニングはどのような関係性があるのか、生徒が自分たちでメニューを作成できるように、理論的な視点を伝えることがあります」と植木先生。

さらに先輩から後輩へ、理論と実践を継承していった積み重ねが、「練習どおりにやれば勝てる」という自信になり、今回のマイル連覇という結果にもつながったのだろう。

70mと40mの直線トラックを使用して日々練習を重ねている(写真/新甫條利子)
70mと140mの直線トラックを使用して日々練習を重ねている(写真/新甫條利子)

今大会の男子400mで、個人でも全国制覇を達成した冨永は、高校に入って自己ベストを2秒7縮めた。さらにマイルリレー1走を務めた2年生の庄籠大翔は、中学時代のベストが51秒13だったが、2年生で今季高校ランキング5位の47秒16まで記録を伸ばしている。今大会は個人種目の直前に右太ももを肉離れし、「何とか走れる状態」(庄籠)で個人種目は準決勝敗退、マイルを何とか走り切ったが、来季インターハイでは冨永に続いて400mでも優勝を狙ってくるだろう。

今回、東福岡高のマイルメンバーは、冨永を除き登録した6人が下級生。このインターハイで400mH3位に入った渕上翔太(2年)も同種目で50秒89と、2年生ながら400mHで今季高校ランキング2位に入っており、来季のインターハイも、東福岡高はマイルで優勝候補に挙がってくるだろう。

インターハイのマイル3連覇は、男子では前人未到の領域。来夏、北海道の地で、東福岡高がその偉業に挑む。

3学年で部員数60人の東福岡高は、2013年以降、10年連続で全国入賞者を輩出。来年以降も引き続き入手者輩出に期待できる(写真/新甫條利子)
3学年で部員数60人の東福岡高は、2013年以降、10年連続で全国入賞者を輩出。来年以降も引き続き入賞者輩出に期待できる(写真/新甫條利子)

※東福岡高のチーム紹介記事は「陸上競技マガジン7月号」に掲載

文/新甫條利子 写真/椛本結城、新甫條利子

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