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2022-09-15

【相撲編集部が選ぶ秋場所5日目の一番】この一年で4勝目! 37歳の鉄人・玉鷲、またも照ノ富士から金星

右を差して照ノ富士を寄り立てる玉鷲。離れるばかりでなく、差しても横綱を倒したのは驚き

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玉鷲(寄り切り)照ノ富士

いやはや、大した37歳だ。

「照ノ富士キラー」の玉鷲が、また横綱を倒した。これで照ノ富士からは、初場所からの3連勝と合わせて、なんとこの一年で4個目の金星だ。
 
この日も立ち合いでやや当たり勝つと、左ハズから右ノド輪で押し込み、さらにモロ手で突いて横綱の上体を起こした。そのあとスッと右が入る。差すのは本来、玉鷲の相撲ではないが、そこからの流れも全く問題なし。右から掬って崩すとそのまま差し手を返して抱え込む隙を与えず寄り立て、最後は左でノドのあたりを突いて勝負を決めた。
 
離れてだけではなく、差しても勝ってしまったというところは驚きだが、そこまでで相手の上体を完全に起こしている、というところがポイントなのだろう。なぜ照ノ富士にこれだけ強いのかは、なかなかわれわれ素人では分析が難しいが、もしかしたら、照ノ富士には玉鷲の突きやノド輪がちょうど効果的に入りやすい体格差なのかもしれない。ちなみに照ノ富士は、阿炎も対戦成績2対2とやや苦手にしており、自分よりは少し背が低いが大柄で、胸やノドをガンガン突いてくる相手が最も取りにくいのではないだろうか。

「うまく下から手が入って、一気に勝負を決められてよかったと思います」と玉鷲。部屋にはほかに関取もいないため、若い力士2人あるいは3人に同時にかからせての稽古などもしているという。そんな鍛錬が、37歳になっても勝機を逃さぬ動きを支えているのだろう。先場所は部屋関係者に新型コロナウイルス陽性者が出て、13日目から初土俵以来初めての休場となったが、連続試合出場記録は継続扱いとなり、今場所8日目まで出場を続ければ、元関脇の貴闘力と歴代3位に並ぶ。
 
これで初日から5連勝。これから役力士との対戦が続くことが予想されるため、平成31年1月に続く「まさかの2度目!?」への道は、スタミナ面から考えても簡単ではないだろうが、これからもどこまで暴れてくれるか楽しみだ。
 
優勝争いは、照ノ富士が2敗目を喫し、完全に追う立場になったことでますます混迷の度を深めてきた。全勝の平幕3人の中からサバイバルに成功した者と、1敗の役力士の貴景勝、豊昇龍、元大関の髙安が中心になってくるのか。さらには照ノ富士、御嶽海ら現状2敗で大勝ちできる力を持つ力士も、まだまだ可能性を残しているといえるだろう。

文=藤本泰祐

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