close

2022-09-24

【相撲編集部が選ぶ秋場所14日目の一番】ともに立ち合い強烈! 玉鷲と髙安が勝って優勝争いは千秋楽決戦へ

この日も強烈なカチ上げを見せ、豊昇龍を引き落とした髙安。逆転優勝へ、千秋楽はいよいよ玉鷲と激突する

全ての画像を見る
髙安(引き落とし)玉鷲

「きょうの一番」というより「きょうの三番」ということになるが、14日目はやはり、優勝を争う2敗の玉鷲、3敗の髙安、北勝富士の土俵が注目された。
 
まず最初に登場したのは玉鷲。どう動いてくるか分からない翔猿に対してどんな立ち合いをするかが注目されたが、そこに迷いは全くなかった。見ていくことなく頭からブチかましたのだ。翔猿も頭でいったがやや立ち遅れ、まともに玉鷲の勢いを受けることになった。後の動きを見ると、少しクラッと来たのかもしれない。玉鷲は両手で翔猿のノドの辺りを押し、一気に赤房下に押し倒した。この瞬間に4敗力士は圏外に。もしもこの後に出てくる3敗の2人が敗れればそこで優勝決定だ。
 
次に土俵に上がったのは北勝富士。立ち合いはその前に“待った”があったために様子を見たのかどうか、北勝富士はあまり頭を下げずに、少し体が起きたような形になってしまった。そこに若隆景の低い立ち合いを受けて後手に。一瞬差した右を巻き替えられ、二本差されてそのまま寄り切られて4敗目。優勝の可能性が消えた。
 
そして最後に土俵に上がったのが髙安。もし負ければその時点で玉鷲の優勝が決定だ。負ければ終わりの緊張感の中、ここ2日間のような思い切った立ち合いができるか……。
 
だが、「いつもと変わらず取れた」という髙安は落ち着いていた。相手の様子を見ながらもガツッとカチ上げ。豊昇龍は左上手狙いでちょっと左に動いて立ったが、廻しに手が届かず、その分弱い立ち合いになって、カチ上げの威力をまともに受けることになってしまった。髙安は少し突き上げて、豊昇龍の足がそろったところを引き落とし。3敗を守った。
 
千秋楽はもちろん、今場所まだ対戦していない2人の決戦になる。
 
過去の対戦成績は玉鷲15勝(不戦勝1含む)、髙安16勝とほぼ互角。この日はともに強烈な立ち合いで勝負をつけているだけに、あすもどちらの立ち合いの威力が勝るかが、まずカギになってくるだろう。

「あしたもリラックスしていきます。今はとても穏やかな感じです」と14日目取組後の髙安。一方、玉鷲は珍しくリモート会見には登場しなかった。この違いは何を意味するのか……。
 
もちろん、1番勝てばいい玉鷲と、本割、優勝決定戦と2番勝たなければいけない髙安では、玉鷲のほうが有利にはなるが、「2番取ることになればスタミナ面で髙安が有利になるのでは?」という声も。
 
さあ、37歳10カ月の玉鷲の昭和以降最年長優勝か、それとも髙安悲願の初優勝か。大荒れだった場所も、いよいよクライマックスだ。

文=藤本泰祐

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事



RELATED関連する記事