27日、東京・後楽園ホールで行われた日本女子ミニマム級王座決定戦6回戦は、同級2位の成田佑美(30歳=姫路木下)が1位の下岡由美子(38歳=厚木ワタナベ)に3ー0の判定勝ちを収め、3度目の挑戦でタイトルを獲得した。
写真上=右ストレートを決める成田(右)
下された判定は、ジャッジ3者とも60対54のフルマーク。2度までもタイトルマッチで無念の判定に泣かされてきた成田の「とにかく圧倒して勝つ」という思いを示す結果だった。
この試合までの戦績は、10戦3勝(1KO)4敗3分。だが、成田のボクシングがそれよりずっと上の水準にあることを東京のファンは知っていた。1年3ヵ月前、ここ後楽園ホールで挑んだ初の日本王座決定戦は、華麗なアウトボクシングでさばき切ったつもりがドロー。4ヵ月後、地元での再戦も判定で敗れた。
「自分の中ではヒットアンドアウェイしたつもりが……未熟でした」。磨き抜いた自分のテクニックを否定された悲しさから、円形脱毛症にもなったと明かす。「試合では何が起こるかわからない。誰が見ても勝ったと思える試合を」。強い決意で臨んだこの夜、成田は速いフットワークを駆使しながらも、これまで以上に攻めた。正確な右ストレートを続けて突き刺し、返しの左フックもクリーンヒット。下岡も諦めず前に出たが、成田の集中は最後まで切れなかった。
いつもは厳しい江口啓二トレーナーに「今日は120点」と褒められ「嬉しすぎます」と笑顔が弾けた成田。23歳のとき、江口トレーナーのもと「エクササイズの習い事」感覚で始めたボクシング。初めてベルトの重たさを実感し、防衛、さらに「もっと上」への挑戦を誓った。
文◉藤木邦昭
写真◉菊田義久
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