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2022-10-23

【陸上】U18大会で中学チャンピオンが激突・20年覇者の牧野友哉が骨折からの復活V

2020年の全国中学大会と21年の全日中チャンピオンがぶつかったU18男子棒高跳は20年の覇者・牧野に軍配(写真/中野英聡)

復帰3戦目で牧野が大会制覇

4人が4m90をクリアしたU18男子棒高跳は、試技数差で牧野友哉(成田高2年・千葉)が優勝、1年生の岸本都夢(高松商高・香川)が2位。一昨年と昨年の中学王者が、共に自己新記録で1、2位となった。岸本は「徳島インターハイ出場を逃した悔しさから、今までの何倍も練習に気合が入るようになって、力がついてきました」と、高校で初めての全国大会で躍動した。

牧野は自己タイ記録の4m80を目標にしていたといい、「思った以上に体が動きました」と10㎝更新したことを喜んだ。4m60から試技を開始し、4m90まですべて一発で成功。試技順が21人中2番目と前の方だったこともあり、後の選手にプレッシャーをかけられるように試合を進めたことも奏功した。

今年4月9日、屋外のシーズン初戦となった千葉県記録会で、右足内側のくるぶしを骨折。「これまでの競技人生になかった大ケガ」(牧野)に見舞われ、手術をして、リハビリ生活を送った。自宅で横になっているだけの日々も続いたという。しかし、学校を休んでいる間にも、顧問の中原浩一先生、菅野さおり先生に支えられ、チームメイトからの応援メッセージ動画に励まされて、前を向いた。

徳島インターハイ路線も断念せざるを得なかったが、牧野はチームを思い、自ら志願して5月の県大会に出場。短助走で跳躍を行い、4m00で6位だった。各県6人が次のラウンドに進めるのだが、同じ6位の選手がもう1人いたことから、南関東大会出場決定戦に臨んだ。ただ、ほとんど跳べるような状態ではなく、勝ち抜くことはできなかった。牧野はインターハイ出場を果たしたチームメイトの山本直樹(3年)、鈴木拓実(2年)に望みを託し、徳島にはサポートで帯同。棒高跳の決勝も観戦し、「周囲の選手が成長していくなかで、何もできないことが苦しかった。自分も出場できていれば……」と悔しさを味わった。それでも、「来年こそは絶対に優勝しよう」という強い決意を胸に、現地でもできることに取り組んだ。

9月から大会に出場し始め、今大会が復帰3戦目。「僕のなかでのインターハイ」と位置付けて挑んだ舞台で、2020年の全国中学大会以来のタイトルを獲得。「試合にも出られず、練習にも参加できない日が続きましたが、もう一度、全国の頂点に立ちたいという思いから、できる限りのトレーニングをしてきました。それを発揮できたことは今後の自信になりましたし、陸上競技の素晴らしさを感じ、頑張ってきて良かったと思いました」と、満足そうな表情を浮かべた。

ケガはまだ完治していないことから、今大会でシーズンアウトして回復を待ち、冬期練習に向かう。休んでいた期間に体重が落ちており、冬期は自重トレーニングで体力を戻していきたいという。来季は5m台を安定させることを目指し、北海道インターハイでは、今大会で5位に入賞した鈴木とワンツーを狙う。

文/石井安里 写真/中野英聡

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