WBAスーパー世界ライトフライ級チャンピオン京口紘人(ワタナベ)は1日、大阪市のエディオンアリーナ大阪第一競技場で同級1位の久田哲也(ハラダ)とタイトルマッチ12回戦を行い、9回にダウンを奪った末に3-0の判定勝ちで2度目の防衛に成功した。久田は世界初挑戦に失敗した。
写真上=攻める京口(右)。ダウンも奪ったが、KOには持って行けなかった
最初の波乱は2回だった。快調な滑り出しに見えていた王者・京口が、久田の右をまともにもらい、たたらを踏んでロープによろめく。「練習していたパンチです」と久田。「あれは効いた」と京口も認めた一撃だったが、ここで久田は冷静さを失ってしまう。ダウンを確信したものの、京口は踏ん張った。もう一発当てようと攻め込んだ久田だが、「熱くなってしまった。KOを狙いすぎた」。絶好のチャンスは、このあと2度とめぐってこなかった。
京口は辛抱強く左ジャブでペースを再構築すると、次第に右の強打につなげていく。6回には相打ちのタイミングで放った右で久田のヒザを揺らした。9回には右アッパーで久田のアゴを跳ね上げ、続く右ショートフックでついにタフな挑戦者をキャンバスに這わせる。立った久田に、京口はなおも右を振りかざして猛攻を仕掛けたが、久田の心を折ることはできなかった。
中盤に受けたバッティングが効いていたこともあり、最終回は徹底的に足を使って久田の反撃を断った京口。ゴングを聞いたときは疲れ切っていた。
判定は117対110、116対111、115対112とジャッジ3者とも京口を支持。「負けはないと思っていた」という京口だが、久田の執念は覚悟していた以上だったと認めた。「久田選手は気持ちの強い、いいボクサー。よく研究されていました」と称え、年内は休んで来年から統一戦などのビッグマッチに向かっていきたいとした。
善戦の久田は「めっちゃしんどかった。みんなを感動させることはかないませんでしたが、一人でも感動してくれたらうれしい」と振り返り、今後については「9割方、諦めていますが、まだなんとも言えません」と答えるにとどめた。勝って3人の娘をリングに上げることはできなかった。だが「大阪決戦」を熱くしたのは、苦労を乗り越え34歳、46戦目にして初めて大舞台に立った挑戦者の、この一戦にかけた「決意」だったことはたしかだ。
文◎藤木邦昭
写真◎早浪章弘
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