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2022-12-21

【箱根駅伝の一番星】「最後まであきらめないところが勝つ」早大主将・鈴木創士が区間賞獲得も視野に最後の箱根路へ

箱根予選会では、チーム3番手の17位でフィニッシュ。全日本は回避したものの、箱根に向け準備を進めている(写真/桜井ひとし)

陸マガの箱根駅伝2023カウントダウン企画「箱根駅伝の一番星」では出場20校の注目選手を紹介。今季、名門・早稲田の主将を担う鈴木創士(4年)。トラックシーズンは思うような結果を残せなかったが、学生最後の大舞台に向け、準備を進めている。「どうせ走るんだったらトップを取るような気持ちで行こう」。キャプテンとして、4年生として、走りでチームをけん引する。

往路を走らないといけない、流れを良くする走りを

今季の全日本大学駅伝、早大は4区を終えた時点で2位と上位争いに加わり、6位でレースを終えている。

目標の3位には届かず、心から満足のいく結果、内容ではなかったかもしれない。それでも、駅伝主将の鈴木創士(4年)は、チームの現状に手応えを感じていた。

「全日本を経験したことで、自分たちの立ち位置だったり、自分たちがやらなければいけないことだったりがより明確になったんじゃないかと感じています。僕が走れなくても、こういう結果を出せたっていうところに関しては、箱根駅伝で戦えるメンバーがそろってきているのを確認できたし、大きな収穫になったと思っています」

自身は全日本を走れなかっただけに、仲間の活躍ぶりが頼もしく感じられた。これが“主将として”の鈴木の心情だ。だが、1人の“競技者として”のそれは違う。

「やっぱりうれしい反面、走れなかったことは悔しかった。2位までは混戦だったので、もし僕が走れていたら、2位もいけたんじゃないかなって考えたりもしました」

タラレバを挙げればキリがないのは重々承知。でも、自分が走って、チームの力になりたかったというのが本音だ。

前半戦、鈴木は蕁麻疹や胃腸炎など体調不良もあって、思うような活躍をなかなか残せなかった。だが、夏以降は調子が上向き、ケガで棒に振った昨年とは違って、充実した夏を送ることができた。

今季は3年ぶりに箱根予選会からの挑戦となったが、その予選会ではチーム内3番手の17位と好走し、本大会出場に貢献した。

しかし、思っていた以上に予選会のダメージが大きかった。全日本にはもちろん出るつもりで準備を進めていたが、花田勝彦監督とも話し合い、「全日本に出たら悪化させてしまうので」(花田監督)と回復に努めた。その後は、低酸素トレーニングなどにも取り組み、回復とトレーニングとを組み合わせながら箱根駅伝に向けて備えている。

鈴木のこれまでの箱根駅伝での成績は、1年時が7区2位、2年時が4区3位、夏をほとんど走れなかった3年時でも7区5位と、安定して区間上位で走っている。1年時はシード落ちの危機を救う走りを見せ、2年時は5人を抜いて3位に浮上する活躍だった。

鈴木が走れるのと走れないのとでは、全く違うチームになってしまう。鈴木の状態がチームの命運を握っていると言っていい。

「結果的には、全日本に出ないという選択をして良かったと思っています。もちろん箱根は走るつもりですし、なんなら区間賞を取るつもりでいます。往路を走らないといけないと思っていて、チームを引っ張る走り、流れを変えたり、流れをより良くしたりする走りができたらなと思っています。これがもう大学最後ですし、僕のなかで悔いがないように終わらせようと思います」

箱根予選会、全日本を終えて、チームは目標を上方修正し、往路3位以内、総合5位以内を掲げて臨む。“以内”とあるのは、チャンスがあれば、もちろん優勝を狙いにいくつもりだからだ。

「最後まであきらめないところが勝つんじゃないかなと思っています。“どうせ走るんだったらトップを取るような気持ちで行こう”って、みんなの気持ちもなっています」(鈴木)

チームの士気は高まっている。

箱根では過去3大会すべて区間一ケタと安定感が光る鈴木。「悔いのない走り」をして、目標に挑んでいく(写真/井出秀人) 

すずき・そうし◎2001年3月27日、静岡県生まれ。浜松日体中→浜松日体高(静岡)。174cm・52kg、A型。高校2年時に全国高校駅伝に出場し3区。大学進学後は、1年時から主力として駅伝のメンバー入りを果たし、箱根は7区2位、4区3位、7区5位とすべて区間一ケタで順位を上げている。自己ベストは、5000m13分54秒40、10000m28分26秒41(2021年)、ハーフ1時間03分07秒(22年)。

文/和田悟志 写真/桜井ひとし、井出秀人

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