IBF女子世界アトム級チャンピオン花形冴美(花形)は12日、東京・後楽園ホールで同級6位の池山直(フュチュール)とタイトルマッチ10回戦を行い、2ー1の判定勝ちで初防衛に成功した。池山は男女を通じて世界記録となる49歳11カ月での王座獲得に失敗した。
写真上=右で池山(左)を攻める花形
1年前、師である花形進会長と同じ5度目の世界挑戦で王座に就いた花形が、今度は会長超えとなる初防衛を目指した一戦。相手は過去に2度挑み、いずれもドローに終わった元王者の池山。ボクシング人生最大とも言える戦いに勝った花形は、試合後のリング上で「結婚します!」と、これまた人生最大のサプライズまで宣言した。
2回までは軽いフットワークで旋回しながら左を突いて、ポイントを先制した花形。しかし池山のプレスが強まり出した3回からは、接近戦で激しい攻防を繰り広げる。6日後に50歳の誕生日を迎えるとはとても思えない池山の力強い前進に押されながらも、花形は要所で右をヒット。傾きかけた試合の流れをせき止めた。
試合終了のゴングが鳴った瞬間は両者ともに勝利の確信はなかったと明かしたが、下された判定は96対94で花形が2人、同じ96対94で池山が1人。「ジャッジの人がそう見たのなら」と結果を受け止めた池山は、今後について「体力的にはまだやれるが、これ以上コミッションや周りの人たちに迷惑をかけたくないので……」と明言を避けた。
「負けたと思われても仕方ない内容だったが、できることはやった」という花形は「池山さんという壁は乗り越えられたかな」と安堵の表情。気になるフィアンセの名は「諸事情あって」まだ明かせないとしたが「式は年内にも挙げたい」と幸せ一杯の笑顔を見せた。それでも「自分で納得のいく試合ができるまで」、花形は女王道を歩み続ける覚悟だ。
文◎藤木邦昭
写真◎馬場高志
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