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2023-01-06

【連載 大相撲が大好きになる 話の玉手箱】第5回「ご褒美」その3

平成28年九州場所千秋楽、3度目の優勝を果たした鶴竜の祝福に駆けつけたムンフザヤ夫人と長女のアニルランちゃん

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一生懸命がんばって「よくやった。おめでとう」と背中を叩かれ、お祝いになにかご褒美をいただく。
こんなうれしいことはありませんね。がんばりがいがあったというものです。
最近は自分が自分にあげるご褒美も流行っていますが、毎日が勝負、それも白か黒か、結果がハッキリ出る大相撲界にはよくご褒美が飛び交います。
早い話、最も好成績をあげた力士が手にする優勝だって、三賞だって、一種のご褒美と言えなくもありません。そんな大相撲界のご褒美アラカルトです。
※月刊『相撲』平成31年4月号から連載中の「大相撲が大好きになる 話の玉手箱」を一部編集。毎週金曜日に公開します。

祝福の熱いキス

うらやましいご褒美もある。平成28(2016)年九州場所千秋楽、横綱鶴竜(現鶴竜親方)は日馬富士を寄り切って、前日に決めた7場所ぶり3度目の優勝に花を添えた。意気揚々と凱旋する花道の奥で待っていたのは、この日の昼過ぎに東京からかけつけた愛妻のムンフザヤさんと1歳の長女、アニルランちゃんだった。
 
2人を見つけた鶴竜はたちまち相好を崩し、アニルランちゃんのほほにやさしくチューをしたあと、いったん支度部屋に引き揚げようとした。すると、ムンフザヤさんが、何か忘れていませんか、と言わんばかりの顔で鶴竜に駆け寄り、引き揚げかけた腕をグイと引っ張ると、その唇に熱いキスをした。
 
あまりにも突然のことだったので、まわりにいた関係者は、このいかにも外国人ならではの祝福に一瞬、ポカーン。鶴竜も、

「みんなが見ていたので、恥ずかしかったけど、最高でした」
 
とほほを真っ赤に染めて照れていたが、一度でいいからこういうご褒美をもらってみたいものだ。

月刊『相撲』令和元年8月号掲載

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