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2023-01-14

【相撲編集部が選ぶ初場所7日目の一番】壮絶張り合いから最後は小手投げ。貴景勝が翠富士との激闘を制して1敗キープ

思い切った小手投げで翠富士を投げ捨てる貴景勝。激闘を制して1敗を守った

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貴景勝(小手投げ)翠富士

壮絶な張り合いで流血しながらも、貴景勝が思い切った投げでクセ者の翠富士を退け、1敗を守った。
 
先場所、立ち合い変化を試みていっぺんにもっていかれたのを反省、「バチバチにいきます」と宣言していた翠富士は、その言葉通り、本当にバチバチに来た。
 
立ち合いは、頭と頭。今場所は変化される可能性が低いので、貴景勝も踏み込みやすい。普通にぶつかり合えば、やはり重い貴景勝のほうが先手だ。まずは東土俵へと押し込む。しかし翠富士も動きよく、右へ回り込んで残す。貴景勝がいったん左でイナして再び土俵中央へ。ここで貴景勝が右から張り手を繰り出せば、翠富士もバチバチに張り返して応戦だ。一瞬、まるでボクシングのように互いに間合いを取って見合った後、再び翠富士は右、貴景勝は左から張り手を見せ合い、翠富士が「張って差す」の作戦通りに右差しに成功した。
 
しかし貴景勝はとっさにこの腕を両手で極めながら振り回すような左の小手投げ。翠富士は土俵下まで投げ飛ばされた。

「(張り合いは)ちょっとクラッと来たんですけど。中に入ったらあの小手投げだけ気をつけようと思ってたんですけど、力がハンパじゃなかったですね」と翠富士。一瞬、いい体勢になったかと思われたが、次の攻めを繰り出す前に、大関のとっさの思い切りのよい捨て身技を食ってしまった。張り手合戦ではどちらかといえば貴景勝の張り手のほうがヒットしていた感じもあり、翠富士としてはその影響もあって、二の矢の攻めが少し遅れてしまったのかもしれない。
 
貴景勝はまさに必死の土俵で1敗を堅持。負けん気が持ち味の大関だけに、むしろ3日目の大栄翔戦やこの日のように、負けん気に火がつくような激しい戦いを毎日こなしていったほうが、淡々と勝ち進むより集中力が増してくるタイプのような気もする。
 
とはいえ、貴景勝は明日も、この日は勝ち残りでこの翠富士の相撲を土俵下から見て「勇敢な戦いに気合をもらいました」と力が入っている元気者の錦富士が相手で、これも油断のできない相手となるが、とにかく目の前の一番一番、勝ちを重ねていくことが優勝への道で、それが綱取りへとつながってくることになる。
 
この日は、8人いた1敗力士のうち、阿炎が豊昇龍にうまくあてがわれて突き切れず2敗に後退、そのほか、東龍、宝富士が敗れて1敗は5人となった。中では大栄翔がこの日も好内容。「勝っていることによって、心に余裕ができて思い切り取れるのは間違いない。今場所は自分の相撲に(動きが)ハマっているのかなと思います」とノッてきており、とりあえずは貴景勝、大栄翔の2人に、直接対決は残りあまり多くないが、2敗組から豊昇龍、阿炎がどう絡んでいくか、をベースにした優勝争いになってきそうだ。

文=藤本泰祐

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