12日、大阪市のエディオンアリーナ大阪第1競技場でWBA世界ミドル級チャンピオン、ロブ・ブラント(アメリカ)に挑戦する村田諒太(帝拳)が3日、東京都内の帝拳ジムで公開練習を行った。スパーリングではジャブの打ち合い、あるいは切り返し、さらに接近してからの上下連打など、多彩な攻防も披露した。
写真上=村田は今回初めてスパーリングを公開した
「今回は勝つだけ。リベンジしたいだけ。悔しい思いをしたので、ただ、ぶん殴って倒してやりたいと思っています」
村田諒太はその思いを遂げるためだけに、この数ヵ月を過ごしてきた。彼の言葉のとおり、悔しい思い出しか残っていない。
ラスベガスのリングで戦ったブラントとの第1戦、村田の野望も誇りも泥の中に沈んだ。
「この試合に勝って、ゲンナディ・ゴロフキンと戦うと、先のことしか考えていませんでしたから」(浜田剛史代表)。当時のブラントは潜在能力はあっても、ローカルホープにすぎないという評価だった。オリンピック・チャンピオンとして、負けてはいけない戦いだった。
「何度もビデオを見直しましたが、ダメな自分がそこにはいました。だから、十分に反省して取り組んできたつもりです」
反省する材料とは、幅のない動き。だからこそ、ブラントに先手を取られると、あまりに単調になっていった。
「棒立ちの状態でした。そこにワンツースリーと打たれて、顔を跳ね上げられて。印象点を持っていかれました」
10ヵ月目のリベンジ戦の準備は、戦法の全景からの見直しになったのかもしれない。
「いい状態が長く続いていました。何か課題が見つかっても、すぐに矯正ができていたと思います」(浜田代表)
その出来栄えを垣間見る2ラウンドのスパーリング。実は今回、スパーリングはマスコミに初めて公開された。
長身のアイザイア・スティーンとジャブの差し合い。打ち終わりを見計らってのリターン。右の一撃に頼らない、ボディから顔面へと左右のフック、アッパーを散りばめた3発以上のコンビネーション。「やや疲れが出ていました」(村田)と言いながらも、攻め口の多彩さが目についた。
「(ブラントに)ペースを握られたときには、強引にでも打ち合って流れを壊さないといけないときもあります。そういうケースを想定しての対策です」
自分自身のボクシングにプラスアルファをどんどん括りつける。戦いに賭ける思いの深さがあるからだ。
「準備段階ではよくても試合に出なければ何にもならない。12日を見てほしいです。これから? 減量もありますし、もっと準備しなければならないものもあります」
村田の言葉からは強い決意しか伝わってこない。
取材◎宮崎正博
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