28日(日本時間29日)、アメリカ・カリフォルニア州テメキュラのペチャンガカジノでIBF世界ライト級タイトルマッチが行われ、チャンピオンのリチャード・カミー(ガーナ)がレイモント・ベルトラン(メキシコ)を8回54秒KOで下し、初防衛に成功した。次の指名防衛戦の相手は、7月19日にメリーランド州で行われる“挑戦者決定戦”、同級3位の中谷正義(井岡)と4位のテオフィモ・ロペス(アメリカ)の勝者となる。
上写真=“苦労人”カミーが、ベルトランを“成敗”した
今年2月、やっとつかんだ2度目のチャンスを実らせて、念願の世界タイトルに就いたガーナ人、コミー。当初は、4月に現WBOライト級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と統一戦が期待されたが、拳の負傷のためにそれを回避し、今回の初防衛戦となった。
挑戦者のベルトランは、昨年2月にプロ19年目でWBOライト級王座に就き、初防衛に失敗した後、今年2月に1階級上の元日本・WBOアジアパシフィック王者、岡田博喜(角海老宝石)をストップして戦線に復帰したばかり。
今回、苦労人同士のタイトルマッチになるはずだったが、ベルトランは、前日の計量でライト級リミットの61.2kgを約800gオーバー。4年前、粟生隆寛(帝拳)とのWBO王座決定戦と同じ失態を犯してしまった。タイトルはコミーにのみ、かけられることに。
初回中盤にカミーがワンツーでベルトランからダウンを奪い、再開後の連打でカウントを聞かせ、早々に決着がつくかと思われた。が、このピンチを凌ぎ切るとベルトランは左フック、ボディ攻撃で盛り返す。5回に再びフロアを這わされた後もベルトランは勝負をあきらめない。カミーには攻め疲れもみられた。そんな中で迎えた8回。チャンピオンの左フックでベルトランが力なくダウン。立ち上がったものの、レフェリーは続行を許さなかった。
度重なるバッティングで右目上を腫らしたカミーは31戦29勝(26KO)2敗。「ベルトランは彼が世界王者だった理由を示した。初防衛できてうれしい。次はテオフィモ・ロペスになるかな……その前に彼は自分の仕事をしなければならないね」と話した。ベルトランは47戦36勝(22KO)9敗1分1無効試合。
前座で行われたNABO/NABF北米スーパーウェルター級タイトルマッチでは、王者カルロス・アダメス(ドミニカ共和国)がパトリック・デイ(アメリカ)を3-0の判定で退けた。採点は98対91、97対93が2者。村田諒太(帝拳)のスパーリングパートナーを務めたデイは米国旗より大きい日の丸をトランクスにつけてリングに上がったが、トップアマ出身の技巧派対決で中盤からチャンピオンのパワーに圧され、最終回残り1分ほど猛攻に遭ってロープ伝いに逃げることになったが、ダウンは拒み切った。
文_宮田有理子 Text by Yuriko Miyata
Photos by Mikey Williams / Top Rank
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