日本人初の4階級制覇をかけ、明日19日、千葉・幕張メッセのリングに立つ井岡一翔(Reason大貴)が計量を4分の1ポンド・アンダーでクリアした後、語ったのはやはり強い決意だった。
写真上=計量後、フェイスオフに臨む井岡(右)とパリクテ
「とりあえず結果で証明するしかありません。海外でボクシングを続けると決意し、復帰して、それでも日本のリングで戦うからには、勝つしかないでしょう」
自分の信じた道を貫きたい。ならば、この関門をきちんと乗り越えたい。
「(目標に立ち向かうのは)あるいは自己満足かもしれない。でも、(挑戦し続けるには)それが世間の評価に値するものでなければなりません」
井岡は楽な展開を予期してはいない。対戦相手アストン・パリクテ(フィリピン)が170センチ近い長身から打ち込んでくる強打への評価は高い。なおかつ、いかにも屈強なパリクテの体の厚みを見れば、体力勝負となったときの不安も残る。
「4階級制覇は簡単ではありません。(最初の挑戦の)前回の負けから、ダイレクトで世界戦に臨めるのことに感謝しています。それだけに、かける思いも強い。今、気持ちは充実しています」
そして、「明日のためだけにやってきたのだから」とつなげた。
一方、52.1キロのリミットいっぱいでパスしたパリクテは、リラックスした表情だった。
「明日が楽しみだ。勝つ自信はある」
笑みもこぼれる。フィリピンでは英雄マニー・パッキャオとも一緒にトレーニングする。そのパッキャオから「頑張れ」と激励も受けた。
「目指すのはマニー? いや、世界チャンピオンになりたいだけだ」
パリクテも9ヵ月前、引き分けで世界チャンピオンの座を逸しているだけに、決意のほどは深い。
「チャンスがあればKOも狙うけど、まず勝つことだ」
ひとつの王座をめぐる戦い。望みの大きさは等しい。あとは技術の差。クラウチングスタイルから攻め口を作るようになった井岡の精度の高い出入り、パリクテの爆発力。スリリングな戦いなることだけは間違いない。
文◎宮崎正博
写真◎山口裕朗
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