19日に千葉・幕張メッセで空位のWBO世界スーパーフライ級王座を賭けて井岡一翔(Reason大貴)と対戦するアストン・パリクテ(フィリピン)が16日、都内のワタナベジムで公開練習を行い、ミット打ちやサンドバッグ打ちで力強いパンチを披露した。

ロデル・マヨール・トレーナーのミットに強烈な右を打ち込む
28歳のパリクテは長身で肩幅も広い。とてもスーパーフライ級とは思えない逞しさ。軽めのシャドーボクシングの後、4ラウンドのミット打ちでは、大半は軽めのヒットにとどめたが、思い切り打ち込む右ストレート、アッパーカットもときおり交え、評判どおりのパワーを垣間見せた。続くサンドバッグも、やはり全力投球とは言えなかったが、軽打のさなかに織り込んだ右は鋭かった。
「100パーセントのコンディションで試合を楽しみたい」
会見で不敵な笑みを浮かべたパリクテは、そしてたっぷりの自信をのぞかせる。
「身長も体の大きさも上回っているので、それを活かして戦いたい。パンチも自分のほうが上。すべてのパンチに自信がある」
ただし、KOにはこだわらない。昨年、同じWBO世界スーパーフライ級王座決定戦のリングに立ち、そのときは老獪な技巧派ドニー・ニエテス(フィリピン)の追い上げにあって引き分けに終わっている。3度目のチャンスはなかなかやってこないのは、パリクテ本人がもっとも理解しているはずだ。

「体の大きさもパンチ力も自分の方が上」と自信を見せるパリクテ
「世界チャンピオンはボクシングを始めた小さいころからの夢。その夢をかなえる試合を楽しみにしている」
そして、3階級制覇の技巧王、井岡攻略の手立てもちらりと明かす。
「イオカの守りの強さは知っている。いろんなパンチを組み合わせて、それを打ち破ってみせる」

チームパリクテの中にはロサンゼルスで一緒に練習したという日本ランカー、中野敬太(左)も
このところアメリカでの試合が続いているが、井岡戦に備えてフィリピンで100ラウンド以上のスパーリングをこなしてきたという。この日は動かないミットやバッグを叩いただけ。戦力の詳細は明かさなかったが、25勝21KOの強打の片りんは確かに見えた。距離管理の巧みな井岡の優位は動かないにしろ、きちんと序盤を支配しないと、思わぬ結果が出る可能性も十分にある。
文◉宮崎正博
写真◉本間暁
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