13日の東京・後楽園ホールで昨年のインターハイ・ライトフライ級王者がプロデビュー。今春、作新学院高を卒業した堀川龍(三迫)がプロ10戦以上(5勝3KO6敗1分)のキャリアがあるサウスポー、石本純(ワタナベ)を3回2分4秒でストップし、初陣を飾った。
初回は左ストレートで腰を落とし、一瞬ヒヤリとさせる場面もあった堀川だが、2回は相手のストレートの距離を潰し、ボディ中心に強気の攻め。3回も接近戦を的確なショートブローで制すると、最後は集中打を浴びせたところでタオル投入となった。
「ホッとしました。アマチュアと違って、入場からキラッキラしてて。自分でもビックリするぐらい緊張しました」と、初々しくプロのリングを振り返った堀川は「練習でやってきたことが何も出せなかったので、今日は0点」と厳しく自己採点した。
茨城県古河市の出身。3歳から父の道場で空手に打ち込み、小学3年でボクシングに転じた。中学のころから作新学院で練習し、ジュニア年代の大会にも出場。高校2年時の全国大会はベスト8止まりだったが、最終学年の選抜で3位、インターハイで優勝と結果を出し、37勝6KO・RSC8敗の戦績を残した。
「ずっとプロでやりたかった」と卒業後は高校の9つ上の先輩で日本ライト級王者の吉野修一郎が在籍する三迫ジムからプロ転向を決めた。この日、前面に出した気の強さはプロとして魅力だが、「気が強すぎるところがちょっと怖い」と椎野大輝トレーナーが苦笑いしたように、身上の「打たせずに打つ」ボクシングを磨いていく。
ジムには同姓の日本ライトフライ級王者・堀川謙一、同じリングで初防衛に成功した日本ミニマム級王者・田中教仁など、同じ階級近辺に実力者がそろう。これ以上ない環境で日々、鍛えられ、「一緒に練習させていただいて、勉強になります」と目を輝かせた。
この試合はDANGAN・B級トーナメントのライトフライ級準決勝でもあり、次戦の決勝では昨年10月のデビューから2連続KO中の中嶋憂輝(角海老宝石)と対戦することが決まっている(日程は未定)。中嶋も奈良・王寺工業高で全国大会3冠を果たし、芦屋大でも活躍したアマチュアホープ。興味深い顔合わせとなる。
「今日のような試合をしているようでは絶対に勝てない。自分より格上なので、もっと練習して、食らいつきたい」と、まだ少年の面影を残した19歳は表情を引き締めていた。
文・写真◎船橋真二郎
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