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2019-05-30

【ボクシング】ワンヘン、福原ともに計量パス ~明日31日、タイでWBCミニマム級戦~

明日31日(金)、タイ・チャチェンサオ(※チョンブリから変更)で行われるWBC世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦、チャンピオンのワンヘン・ミナヨーティン(33歳=タイ)vs.元WBO同級王者で現同級4位の挑戦者・福原辰弥(30歳=本田フィットネス)の前日計量がバンコク市内で行われ、ワンヘンが47.5kg、福原がリミットの47.6kgで1発パスした。

上写真=ワンヘン(左)、福原ともに計量をクリアした

 2017年11月(タイ・ナコンラチャシマ)以来の再戦となる両者。前戦は116対112、118対110、117対113とワンヘンが3-0判定勝利を飾っている。サウスポーのファイター福原の直線的な攻撃を、ワンヘンが巧みにあしらったという展開だった。
 この試合で元世界ヘビー級王者ロッキー・マルシアノ(アメリカ)の持つ49連勝無敗に並んだワンヘンは、その次の試合で、元世界5階級制覇のフロイド・メイウェザー(アメリカ)の記録(50勝無敗)に並び、あっさりと抜き去ってしまう。福原との試合に勝てば、53連勝と記録を更新することとなる。
 しかし、今回が11度目の防衛戦となるワンヘンも、かつてのような輝きを失いつつある。それは戦いぶりに顕著だ。小柄(158cm)ながら、シャープで迫力のあった攻撃は影を潜め、キャリアに裏打ちされたテクニックで、相手をかわすスタイルが全面に出るのだ。

リミットでクリアした福原は身長164cm。ワンヘンよりひと回り大きい印象だ

 しかし、福原が前回と同じ戦い方をすれば二の舞になるだろう。技術的にはやはり王者が1枚も2枚も上だ。攻めて攻めて攻めまくる。このスタイルをいまさら変えることもできない。だから、福原は攻撃を仕掛けるタイミングを徹底的に磨いたという。

 王者側の都合で、決まりかけては延期……を繰り返し、一方的に試合キャンセルを通達してきたこともあったが、本田憲哉会長がWBCに働きかけ、団体からの強い要請により、ようやく今回の実現へと至った再戦だ。まさに進退を賭けてタイに乗り込んだ福原に対し、ワンヘンのモチベーションはいかようか。

1年半ぶりに顔を合わせた両者。「王者はナーバスに見えた」と福原

 日本人男子選手にとって、タイは歴史的な鬼門。これまで世界タイトルマッチ(※暫定は含まず)の戦績は23敗1分で、ただの1度も勝ったことがない。そんな場所で、無敗の王者に挑むのだから、福原にとっては超難関の戦いだ。が、福原は、前回のワンヘン挑戦を含め、今回が4度目のタイ遠征だそうで、「泊まっているホテルも前回と同じで、よく眠れている。減量もスムーズにいき、仕上がりも良好」と、敵地に飲みこまれる雰囲気はない。また、難攻不落の砦に挑む“開き直り”が、精神的にゆとりを生むはずである。

計量時に公開で検診を行うのがタイのスタイル。日本とは異なる光景だ

「勝敗についてはわからないけれど、十分に準備はしてきた。全力を尽くしたい」(ワンヘン)

「計量が終わって、気合も入り直したので、明日はしっかりいい内容で勝って、日本にベルトを持ち帰りたい。ワンヘンは3日前に会ったときよりも、ひと回り小さくなったし、ナーバスになっている印象です。パンチをもらわず、ペースを渡さず、しっかり攻める。チャンスが必ず来ると思うので、倒しにいきます」(福原)

 絶対的不利を予想されている福原。もちろん勝てば、日本ボクシング界にとって大快挙となる。

ワンヘン・ミナヨーティン:52戦52勝18KO
福原辰弥:33戦21勝7KO6敗6分 

取材&写真_西村華江
Coverage & Photos by Hanae Nishimura

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