日本スーパーフライ級7位の川浦龍生(川島)は15日、東京・後楽園ホールでフィリピン・バンタム級4位のレノエル・パエル(フィリピン)と8回戦を行い、大差の判定勝ち。アマチュアからプロ転向後、6連勝(4KO)をマークした。
写真上=川浦(右)はパエルを終始圧倒した
パンチの切れ味を忘れさせるほどに、圧倒的なディフェンスマスターだった川島郭志会長の現役時代(元WBC世界スーパーフライ級チャンピオン)。同じ徳島県出身。やはりサウスポー。さらに同じくスーパーフライ級。川浦は徳島市立高校から中央大学を経てプロ入り後に弟子となった。この日、見せたスピード、俊敏なアウトボクシングは、なかなかに上質。けれど、会長のニックネーム、“アンタッチャブル”を引き継ぐためには、もう少しキャリアを積む必要がありそうにも見えた。
川浦はとにかく慎重だった。相手のパエルはここ数年、負け数が増えているが、かつては世界ランキングにも名前が見え隠れしたホープ。川島ジムの興行で初めてメインイベントをつとめる川浦は、そのパエルにしっかり勝つことが最大の使命。だからこそ、大胆に戦う気持ちを縛り付けたのか。
ジャブから左ストレート。4回の開始早々には鮮やかに打ち込んだワンツーでダウンを奪う。しかし、パンチがつながらない。カウンター狙いで、後出しじゃんけんになってしまう。
「会長には自分から攻めろとずっと言われていたんですが、まず打たれないことばかりを考えすぎてしまって」
左ストレートを何度も好打するが、右フックの返しはほぼ皆無。毎回のようにポイントはピックアップしても、ダウンシーン以外に山場がなかなか作れない。そのうち、意を決したパエルがビッグパンチを振りかざすようになる。そのパンチが当たることはなかったが、もっと圧倒してもよかったという印象ばかりが残った。

圧勝にも反省の川浦
採点は2ジャッジがフルマークの完勝でも、川浦は反省しきり。
「今日は8ラウンド戦ったことと、勝ったことだけが収穫。あとはまるでだめでした。練習を重ねていきます」
「井上尚弥だって最初はあんなにものすごくはなかった」と切り出した川島会長は「徐々に成長している。今からです。明日は、あさってはと、もっと強くなるはず。そのためにもリングに入ったら鬼になってほしい」。優しくも厳しいエールを愛弟子に送った。
文◉宮崎正博
写真◉馬場高志
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