10日、東京・後楽園ホールで行われた『第40回チャンピオンカーニバル』の日本スーパーウェルター級タイトルマッチ10回戦は、挑戦者1位の松永宏信(31歳=横浜光)が、チャンピオンの新藤寛之(32歳=宮田)を6回終了で棄権させTKO勝利。新チャンピオンとなった。新藤は2度目の防衛に失敗。
上写真=松永(奥)は、終始距離を詰めてプレッシャーをかけていった
サウスポー同士の一戦は、身長で10cm以上上回る王者が、入ってくる松永を迎え撃つ展開に終始した。
懐が深く、右のリードジャブを駆使するボクシングが持ち味の新藤だが、松永は上体を小刻みに左右に振りながら、クイックなステップインを多用。右フックを下から上に返すコンビネーションをベースに試合を進めた。
「(新藤の距離は)思っていた以上に遠くはなかった」と松永。入り際に左ストレートや左アッパーカットが飛んできたが、それらをガード、ブロッキングで遮断し、飛び込んでいく。体を密着させてショートの右フック、左右のアッパーカットを突いていき、完全にペースを掌握していった。
3ラウンドには右ボディフックで王者の体をくの字にさせた松永は、プレスの手を止めない。5ラウンドには新藤の動きがあからさまに落ち、松永がロープからロープへと追いこんで連打を仕掛けるシーンがどんどん増えていった。
6ラウンド、新藤はロープを背負いながら右フックのカウンターを狙うのみに陥る。それでも松永の左右フックの上下攻撃が上をいった。
赤コーナーに詰められて終了ゴングを聞いた新藤は、用意された椅子にドサリと座り込む。ボディに受けたダメージと疲労がかなりのものだという象徴的なシーンだったが、陣営もそれを悟ったのだろう。インターバル中に棄権を申し出た。
宮田ジムは、タオルを投げ込むタイミングも常に絶妙で、いつも賢明なストップを選択する。この日も実に見事な決断だったと思う。
「会長とやってきたことの1%も出せなかった」という新王者。しかし、石井会長(右)は「ブロッキングはできてたな」とにやり 写真_本間 暁
「(石井一太郎)会長やジムのみんなが手にした日本タイトル。絶対に獲りたかった」と喜びを表す松永の戦績は16戦15勝(9KO)1敗。
「今後どうするかは考えられない」と語った新藤の戦績は27戦20勝(8KO)5敗2分。
文_本間 暁 写真_小河原友信
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