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2019-04-25

【ボクシング】村田諒太の世界戦発表 7・12大阪でブラントと再戦

村田諒太(帝拳)が直接再戦で、世界王座復帰にかける。24日、東京・九段グランスパレスで開かれた記者会見で、前WBA世界ミドル級チャンピオンの村田が7月12日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で、昨秋、判定で敗れてタイトルを手放した相手、ロブ・ブラント(アメリカ)に挑むタイトルマッチ12回戦を行うと発表した。村田はタイトルを失った一戦からの9ヵ月ぶりの再起戦が、世界再挑戦の戦いになる。ブラントはこれが2度目の防衛戦。試合はフジテレビ系列で生中継される(詳細は後日発表)。

前回以上の強さを見せる(ブラント)

「防衛戦というより、大きなチャレンジ」と語る王者ブラント。右はトレーナーのエディ・ムスタファ・ムハマド氏

 記者会見はブラントへの質問から始まった。この日の記者会見のためにわざわざ来日したブラントは、滑らかな口調で一気にまくし立てる。

「前回、ラスベガスの試合は、言わば私のホームでもらったチャンス。今度はムラタのホームでの戦いになる。これは防衛戦と言うより、私にとって大きなチャレンジ。前回はハイペースで戦ったが、今度はそれ以上のハイペースで戦って、前回以上にエキサイティングな試合にする。そして、同じ結果を手にしたい」

 前戦からコンビを組む元世界ライトヘビー級チャンピオンのトレーナー、エディ・ムスタファ・ムハマド氏の傍らで、28歳のブラントの言葉はなお弾ける。チャンピオンであっても、いまだ挑み続ける立場、ほんとうの望みはもっと先にあると語る。

「今のポジションを守るための戦いではない。ファンを楽しませ、なおかつ勝ってこそ、真のスーパースター。そのためにも前回以上の強さを見せたい」

同じ戦いをする気はない(村田)

村田はいつになく硬い表情でリベンジの決意を語った

 チャンピオンのコメントを受けて立った村田の応答は、いつになくぶっきらぼうで、コメントのひとつひとつが切り立って聞こえた。

「敗れた後、ボクシングも終わりかなと思ったりもしたが、これが最後の試合でいいのかと考えるようになった」とリング生活続行を決意したいきさつを語り、それから今度こそが最後のチャンスと強調した。

「負けたらもちろん、もっと(自分の戦いを)見ていたいと言われなかったら、それで先はない。試合が終わってからジャッジメントしたい」

 さらに言葉は厳しくなる。

「今言えるのはベストを尽くすということだけ。この場で何を言っても意味はない。前回、完全に負けたと思った相手の前で、具体的なものはなにひとつ言葉にしたくない。リングの上だけを見てほしい」

 語気は強まる。

「負けた試合は反省すべきところが多かった。動きも良くなかった。それら自省の思いを込めてリングに立ち向かう。同じ戦いをする気はない」

 2年前、あまりに不運な判定でアッサン・エンダム(フランス)に敗れたときとは違う。今度は完敗を認め、それだけやり込められた自分自身への挑戦になる。会見の場を離れ、囲みの取材になって、村田の口調はいくぶん和らいだが、厳しい語り口はあちらこちらに開いた。

「ほんとうは(ブラントと)会いたくもない。自分に勝った相手へのリスペクトもあるが、それ以上に誇りを傷つけられた相手」

「ダイレクトの再戦? それがいいとも悪いともと言う前に、こういうチャンスを作ってもらえたことに感謝したい。そいれでなくてもミドル級は厳しい。そうそうチャンスは転がっていないから」

「自分自身が何が悪かったのか。負けた試合の映像は何度も見た。目を背けては、何も変わらない」

 輝いて生きることができるのはリングの上しかない。生き延びようと思うなら、もっと厳しく自分を見つめるしかない。その言葉はひとつひとつ自身にむち打つ烈しさにあふれていた。

文◎宮崎正博
写真◎榎本郁也

 

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