3月30日、アメリカ・カリフォルニア州インディオでWBO世界ライトフライ級タイトルマッチが行われ、チャンピオンのアンヘル・アコスタ(プエルトリコ)が元WBC王者で現在WBO7位のガニガン・ロペス(メキシコ)を8回1分55秒KOで下した。
写真上=ベテラン、ロペスを強打で追い込むアコスタ
写真/Getty Images
日本にゆかりのある二人の顔合わせだった。アコスタは2017年5月に16戦全KO勝ちの戦績をひっさげて初来日。当時のWBOライトフライ級王者・田中恒成(畑中)に初黒星を喫し、「田中との試合でたくさんのことを学んだ」と、半年後の再起戦で、田中が返上した王座を獲得して今回が3度目の防衛戦になる。一方のロペスは来日3度。最初はちょうど3年前で、木村悠(帝拳)の初防衛を阻んでWBC同級王座を獲得した。昨年5月には拳四朗(BMB)にタイトルを奪われ、返り討ちにも遭ったが、その後昨年11月に再起していた。
そんな二人の試合は、スタートからアコスタの速いコンビネーションが光った。田中への敗戦を除けばすべてKO勝ちの28歳は、早期決着を狙っていただろう。しかし、地方公務員として働きながら戦い続ける37歳のサウスポーは、ベテランの巧さを見せた。2回にアコスタの右カウンターに耐えると、忙しいボディワークでパンチをかわし、5回、6回とボディ打ちでチャンピオンを苦しめた。
だがやはりアコスタはKOパンチャーだった。8回、カウンターの左フックがガニガンをとらえる。追撃でダウンを奪い、テンカウントを聞かせた。
「ガニガンはインテリジェントな相手だった。初回にダメージを与えたのにきちんと修正してみせた。統一戦がしたい。そしてビッグマネーをつかみたい。だって僕は重いクラスの選手のように相手を倒せることを証明しているんだから」と語ったアコスタは、希望する対戦者として、WBC同級王者の拳四朗(BMB)をはじめWBAスーパー王者の京口紘人(ワタナベ)、IBF王者フェリックス・アルバラードらの名を挙げている。
アコスタの戦績は21戦20勝(20KO)1敗。
敗れたロペスは、44戦35勝(19KO)9敗。「自分のパンチが当たっていたので、ふと気を抜いてしまったかもしれない。そこへ左をテンプルにもらってしまった」と陣営は悔やんだ。
このゴールデンボーイプロモーション興行の主役は、WBOスーパーフェザー級1位にランクされる20歳の次期スター候補ライアン・ガルシア(アメリカ)。プエルトリコの中堅ホセ・ロペスとのライト級10回戦を、2回終了KOで終わらせた。
統一世界ミドル級チャンピオン、サウル・“カネロ”・アルバレスのキャンプでトレーナー、エディ・レイノソの薫陶を受けるガルシアは、満員の観衆の前で開始から速射のジャブ、右打ちおろしで小柄なロペスを下がらせて、2回終了間際にダウンを奪う。そのコンビネーションはラフで力づくだったが、ロペスを降参させるには十分だった。
リング上でカネロの祝福を受けたガルシアは、「トレーニングでも自分の成長を感じるし、試合でもどんどんよくなっていると思うが、まだまだ上達は必要。レベルが上がれば相手のレベルが上がるもの。でも、今年世界挑戦を迎える準備ができていると思うかと聞かれれば、答えはイエスだ」と話した。
伊藤雅雪(伴流)が頂点に君臨するWBOスーパーフェザー級の1位にランクされているが、SNS上の舌戦はもっぱら、WBAスーパー同級王者のジャーボンテ・デービス(アメリカ)と。ここ3戦はライト級で戦っており、世界初挑戦はライト級ではないかとの見方が強い。戦績はこれで18戦18勝15KO。ロペスは25戦20勝(14KO)4敗1分。
取材◎宮田有理子
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