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2019-03-27

【ボクシング】 井岡一翔が日本リングに復帰 6月にも4階級制覇再挑戦へ

3階級制覇王者、井岡一翔は27日、東京都内で記者会見を開き、4階級制覇を目指して、今後はReason大貴ジムに所属しながら活動していくと発表した。さらにReason大貴ジム側からは現在空位になっているWBO世界スーパーフライ級王座決定戦への出場を、6月を目途に東京で開催する方向で交渉していることも明かされている。井岡は父・一法氏が会長をつとめる井岡ジムを離れ、JBCにライセンスを返上したまま、国外でボクサー活動を継続していた。

上写真=国内復帰が決まり、決意を新たに表明した井岡

決して力みすぎず、心のバランスを平静に保ちながら、4階級制覇への強い思いを語った

「今後も海外を軸にやっていくことに変わりはありません」

 井岡はまずひとこと目に強調した。そして、今回の決断をこう説いていく。

「どうしても4階級制覇を達成したい。そのためにも日本で試合ができる可能性を含め、ライセンスがあった方がいいと判断しました。それに日本のボクシング界にもっと貢献したいという気持ちもあります」

 手を差し伸べたのは、プロボクシング興行シリーズ『DANGAN』を手がける瀬端幸男氏。Reason大貴ジムに井岡を招き、日本での試合活動やトレーニング環境を提供していくという。

 井岡にとって4階級制覇は悲願である。昨年の12月31日、マカオでのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦でドニー・ニエテス(フィリピン)に惜敗し、目標達成のために、戦い続けるために選択肢を可能なかぎり広範囲に広げたいと考えるのは当然だ。

「以前とは180度違う環境で準備し、そしてアメリカとマカオで試合をしました。まだその2試合だけですが自分の中に成長を感じたのは確かです。すべての点でレベルアップしたこと、経験を積んだ強味ももっと見せていきたい」

 ニエテス戦の敗戦以降も、志に陰りが差し込むことはなかった。

「試合後はいろいろ考えました。とにかく悔しかった。ずっと考えながらトレーニングを重ねてきました」

 その成果はほどなく試されることになる。6月に東京開催で世界戦が実現に向かって進んでいる。WBO世界スーパーフライ級王座決定戦出場の話が舞い込んだ。

 井岡に勝って先に4階級制覇に成功したニエテスには、それ以前に引き分けているアストン・パリクテ(フィリピン)との指名挑戦を義務づけられていたが、これを拒否した。プエルトリコで行われた興行の入札にも参加しなかった。ニエテスはシーサケット・ソールンビサイ(タイ)やファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)らもっと評価の高い選手と対戦したいという。結局、パリクテと王座を争う相手の席が空いたのだ。ランキング2位とパリクテに次ぐ位置にいる井岡が権利を得るのは当然の成り行きだった。

「必ず獲らせます!」と瀬端氏も強力なバックアップを約束した

「これまで東洋太平洋やWBOアジアパシフィックのタイトル戦までだったが、初めて世界戦を手がけます。そのために全力を尽くしたい」(瀬端氏)

 会見の3日前に誕生日を迎え、30の大台に乗った井岡は、「ボクシングそのものが大きく変わることはないのでしょう。戦略とか、基礎になる体力面の底上げが必要」とボクサーとしての“深さ”に注目してほしいと強調。「どんな試合にも負けられない。いくつもの強敵に勝ちきっていき、次につなげたい」とあとのない覚悟を誓った。

文_宮崎正博 写真_本間 暁

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