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2023-03-16

【相撲編集部が選ぶ春場所5日目の一番】大栄翔、正代を圧倒して5連勝。全勝は翠富士、髙安、錦富士加え4人に

大栄翔は正代を押し出し5連勝。左を差されて右手がバンザイになったが、立ち合いの勢いのまま攻め切った

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大栄翔(押し出し)正代

優勝経験者が、ノッてきた。三役以上でただ一人の勝ちっ放しの小結大栄翔は、この日も立ち合いから一気に前に出て、今場所好調の元大関正代を圧倒。5連勝と星を伸ばした。
 
この日も迷いなく攻め切った。正代はマトが大きく、胸を出すような立ち合いなので、大栄翔にとって当たりやすい相手ではあるのだろうが、まずは頭で行って、両手をグイと伸ばして相手をのけぞらせ、完全に先手を取った。ただ、正代も今場所は大栄翔との対戦成績1勝5敗だったこの一年の正代ではない。下がりながらも左を差し、大栄翔の体を起こしにかかる。ところが今場所の大栄翔の勢いは止まらなかった。右手はバンザイのようになりながらも、立ち合いの勢いのまま、体をぶつけるようにして、そのまま押し出した。正代に得意の左を差されても浮き上がることなく勝負を決したところに、今場所の好調さがうかがえる。

「一直線に前に出られてよかったんですけど、もうちょっと土俵際を強くしたい。ちょっと左をのぞかされたんで。最後まで突き切るようにしたいです」と大栄翔。「ホントに自分の相撲が取れている」と言いながらも、反省は忘れないところに落ち着きが見える。
 
幕内の全勝力士では唯一の三役で、かつ唯一の優勝経験者。優勝の話題には「前半なんで。まだまだ」と乗ってこないが、「思い切って自分の相撲が取れれば勝つっていう自信があるので」と、自分の力への信頼ものぞかせる。過去の優勝経験と、迷いを持つことなくぶつかっていける戦いぶりは、中盤戦以降の優勝争いに向けては大きな武器となるはずだ。
 
明日6日目は小結同士で、ここまで4勝1敗の琴ノ若との対戦。対戦成績ではこのところ大栄翔は3連敗と分が悪い。大きく、柔らかく、受けの強さでは幕内トップクラスと言っていいこの相手を攻め切れるか。前半戦の大きな関門となりそうだ。
 
4日目まで5人いた全勝力士の中では、この日、北青鵬は十両逸ノ城に敗れ土(唯一? がっぷり四つでも力で圧倒できない相手に、勝手が分からないかのような相撲ではあったが……)。髙安は今場所好調の宇良を、足取りを許すこともなく落ち着いて料理して全勝をキープ、「今度こそ」の初優勝へ、こちらも期待が膨らむ。互いに「負けられない」と同年齢で刺激し合って頑張っている翠富士、錦富士の伊勢ケ濱コンビも好内容の勝利を継続し、勢いに乗っている。明日の取組では、4人のうち先述の大栄翔と、遠藤が相手の翠富士が1敗の好調力士を迎え撃つことになり、なかなか難敵だが、どこまで連勝街道を走っていってくれるか。
 
なお、綱取りを懸ける大関貴景勝は、思い切った立ち合いから竜電に何もさせず押し出して快勝し白星先行。明日以降もこの日のように相手に横に動くいとまを与えない相撲を取り続けることができれば、活路が開けるかもしれない。

文=藤本泰祐

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