日本フライ級6位の畑中建人(畑中)は16日、岐阜メモリアルセンターでソンセン・ポーヤム(タイ)と10回戦を行い、8回1分44秒TKO勝ちした。元世界王者の畑中清詞会長を父に持つ名古屋の “プリンス” は、保持するWBCユース王座の初防衛に成功するとともに、デビュー以来8連続KO勝ちを飾った。
写真上=ソンセン(左)を攻める畑中
写真◎早浪章弘
「いままでで一番苦戦できて、逆に勉強になりました」。ちょっと複雑な思いもにじませながら、笑顔で「収穫」を語った畑中。過去最長8ラウンドの戦いを強いられたのは、相手の実力にもよる。これまで対戦してきた4人の外国人と違い、ソンセンはしっかりした技術で畑中に対抗。ジャブの交換でも打ち負けず、大きな右の捨てパンチから返しの左フックと、闘志もあらわに打ちかかってきた。畑中は2回に右のカウンターでソンセンをよろめかせるが、タイミングは紙一重。なかなかにスリルをはらんだ戦いとなった。
畑中は中盤から接近戦でショート連打に切り替えたのが奏功。回を重ねて切れとスピードを増した上下の連打でソンセンの動きを鈍らせていく。迎えた8回、左ボディの連発から猛攻を仕掛けるとソンセンはロープ際に崩れ落ちた。
この試合から心強いパートナーを得た。元東洋太平洋チャンピオンで、世界王座にも2度挑んだ石原英康氏が専属トレーナーに就任。引退後は中京高校に奉職、同校ボクシング部の監督も務めていた石原氏だが、高校在学中から自分を慕う建人と父・清詞会長の、たっての願いを受け入れた。監督の座は田中恒成の兄でもある駒澤大の後輩、亮明氏に継ぎ、自身は高校の授業を終えて畑中ジムに駆けつける日々が1月から始まった。「専属」は、そのまま建人への期待の大きさを物語る。
石原トレーナーによる指導は「ワンツー、左ストレート、右ストレート。ほんとうにシンプルです」と建人。今回の試合でも、常にジャブを忘れなかった。「究極の基本こそ最強」――師弟の進化に注目していきたい。
取材◎藤木邦昭
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