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2023-03-22

【相撲編集部が選ぶ春場所11日目の一番】翠富士は若元春に押し倒され、ついに土。独走態勢崩れる

若元春が押し倒しで翠富士の連勝にストップをかけ、優勝争いは一気に面白くなってきた

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若元春(押し倒し)翠富士

初日から快進撃を続けていた翠富士がついにストップした。
 
この日の相手は、小結の若元春。過去の対戦成績は1対1だ。予想できる流れは左四つだが、しっかり捕まえたいのが若元春、少し距離のある形で組みたいのが翠富士。そのためにはやはり立ち合いで先手をいかに取るか、が互いにとって大事になる。
 
そこで「体は小さくても、立ち合い軽い相手ではないので、しっかり当たっていった」のが若元春だ。右でカチ上げ、左は下から入りにいく。翠富士は「右前ミツ狙いに行ったけど、相手の左の力が強すぎて、入られちゃいました」と、若元春が攻め勝つ形で、互いに左を差した。ここで翠富士は左に回って得意の肩透かしを仕掛けるが、相手に圧力がかかっておらず、上体が立った形からの仕掛けだったため、かえって相手を呼び込むことになってしまった。「肩透かしも逃げの肩透かしだった」と翠富士。「相手が肩透かしにきて、下がったところを無理やり出た」と若元春。若元春が肩透かしについていって体を預け、青房下に押し倒した。
 
かくして翠富士の独走状態は崩れ、この日、髙安の攻めをしのいで逆襲、押し出しで2敗を守った大栄翔との差が1つに縮まった。大栄翔はまだ翠富士との対戦を残しているので、自力優勝が復活、優勝争いはがぜん分からなくなってきた。
 
残り4日間、予想される対戦相手は、翠富士が12日目は若隆景が確定、大栄翔との直接対決は間違いなく組まれると思われるので、あとの2日は、豊昇龍、霧馬山、琴ノ若の中から2人が選ばれる形が濃厚だ。明日は若隆景戦で、「兄弟に負けないように頑張りたい」ともちろん闘志満々だが、いったん勢いが止まってしまった今、格上ばかりの相手に残り何勝何敗で終えられるか。2敗、3敗と星を崩す可能性もそれなりにある、と見るのが妥当なところか。
 
一方、大栄翔は、12日目は7連勝と調子を上げてきている北勝富士が確定、残りの3日は、翠富士、霧馬山は間違いないだろうが、翔猿、遠藤が同部屋のため、もう一人はあまり有力な相手が見当たらず、番付の近い明生になるか。もちろん翠富士との直接対決に勝つことは必須になるが、もしそれができれば、残りの相手は翠富士に比べると星を崩す可能性は低いといえる。
 
そして、豊昇龍、霧馬山、琴ノ若、若元春、遠藤、千代翔馬と、この日を終わって6人いる3敗力士。いつもの場所なら、「残り4日で2差は、まず逆転は難しい」と断じるところだが、今場所はトップが星を崩してくる可能性が多少あり、この3敗勢に力のある力士がそろっているので、いつもに比べると、2差でも可能性を残しているといえるだろう。ほとんどの力士はこのあとつぶし合いになるので、サバイバルに成功した誰かが浮上、ということにはなるが……。特に、翠富士、大栄翔の両方と直接対決を残す霧馬山はキーマンだと言える。
 
総合すれば、優勝の可能性は、翠富士が40%、大栄翔が40%、残りの20%を3敗組が分け合い、サバイバルにかける、という感じだろうか。今後の展開から、いよいよ目が離せなくなってきた。

文=藤本泰祐

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