上写真=ふたたびアメリカでIBF挑戦者決定戦に臨む小原
IBF世界ウェルター級5位の小原佳太(32歳=三迫)が3月30日(日本時間31日)、アメリカ・フィラデルフィアの2300アリーナで、同級4位で無敗のクドラティロ・アブドカハロフ(25歳=ウズベキスタン)とIBF同級王座挑戦者決定戦12回戦を行うことが発表された。
小原にとって、アメリカでの試合とともに、IBF王座への挑戦者決定戦は2015年11月以来、2度目。前回はワルテル・カスティーリョ(ニカラグア)とスーパーライト級の挑戦者決定戦をマイアミで行い、巧みなアウトボクシングでカスティーリョを翻弄したかに思えたが、1-0のドローに終わった。
その後の交渉で挑戦権を得て、満を持して王者エドゥアルド・トロヤノフスキー(ロシア)に敵地で挑んだが、右の強打を食って2回TKO負け。最初の挑戦は夢破れた。
その後、小原はウェルター級へクラスを上げて、WBOアジアパシフィック王座を獲得。再挑戦のチャンスを窺っていた。
「挑戦者決定戦を経て、世界に挑むのが王道。前回は引き分けに終わったけれど、今回はしっかりと勝って、2度目の世界挑戦を実現したい」と小原。過去2度の海外戦は、いずれも悔しい思いをしたが、三度目の試みで、しっかりと結果を残したいと意気込む。
三迫貴志会長によれば、「昨年11月くらいにIBFからこの話が来て、相手陣営と開催地等で交渉を続けてきた。当初は1月上旬開催という話もあったが、ようやく実現することができた」。アブドカハロフはマレーシア在住で、同地、もしくは日本開催という交渉が続き、結果的に、アメリカの大手プロモーション、トップランク社が主催するイベントに落ち着いた。
アブドカハロフは15戦15勝(9KO)無敗。アマチュアキャリアも「170勝10敗」(小原)と豊富で、「派手さはないけれど、やりづらくて苦手なタイプ」と小原。かつてロシアでアブドカハロフの試合を見たという加藤健太トレーナーは、「あるときはファイターで、あるときは足を使って、打って動く。そこまでやりづらい選手とは思わない」と話す。
「お互いの距離は合うと思うので、その距離に合わせるまでの展開がポイント」と小原。「緊張しているけれど楽しみ。勝って、トップランクのほうにも認めてもらえれば……」と、2度目の渡米に思いを馳せる。
まだ不確定な話だが、試合では8オンスグローブが使用される可能性があるという。国内ではスーパーライト級までが8オンス、ウェルター級以上は10オンスグローブを使用する規定になっているが、アメリカでは州によってルールが異なるのだ。
「とりあえず、RIVAL社の8オンスグローブを、後輩の佐川(遼)が持っていたので、それを確保(笑)しました。試合のときようにそれは使っていません」(小原)。小原を長年見ているフィジカルトレーナーで、バンデージ担当の永末貴之氏が、RIVAL社と提携しており、同社のグローブは何度も練習で使用しており、試合でも使用する予定。「本当に8オンスになったら怖いですけど(笑)」と半分冗談ぽく笑ったが、「そうなったらそうでやるしかない」と、小原はハッキリとした口調で言い切った。
ちなみに同級チャンピオンは、全階級比較で上位に選ばれているエロール・スペンス(アメリカ)。だが、「今度の試合に集中して勝たなければ、次を語れない」と小原はアブドカハロフ攻略に神経を集中させている。
海外での初勝利、トップアマへの下剋上、そして2度目の世界戦切符を──。
小原の表情からは、緊張感とリラックス状態のバランスが程よく見てとれた。
文&写真_本間 暁
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