上写真=試合が正式に発表となり、目つきも鋭さを増した木村
前WBO世界フライ級チャンピオン(現・同級6位)木村翔(30歳=青木)が帰ってくる──。昨年9月に田中恒成(23歳=畑中)に判定で敗れて王座を奪われたが、半年ぶりに、しかも中国・上海のリングに立つというもの。対戦相手は、「ピグミー・ゴーキャットジム」のリングネームで知られる元WBA世界ミニマム級2位のウィチャー・プライカオ(37歳=タイ)。試合は3月30日、中国・上海で、東洋太平洋フライ級・シルバー王座決定戦10回戦として行われる。ふたたび世界の頂点を目指す木村にとっては、内容も問われる試合となる。
すでに発表されている今野裕介、山内涼太の角海老宝石ジムコンビらが出場する『第5回日中対抗戦』。木村はこの大会の“スペシャルゲスト”として招待され、日本対中国戦の合間の特別試合に出場する。
「赤コーナーに立つから、僕は中国選手扱いかもしれません」といって爆笑をとるが、それもあながち遠からず、だ。「今後は中国を主戦場として考えている」と有吉将之会長も明かすように、木村の存在は、中国ではそれほど圧倒的なものになりつつあるのだ。
対戦相手は、過去に加納陸(大成)、坂本真宏(六島)と対戦し、いずれも敗れているが日本のファンの間でも名前の通っている選手。元々ミニマム級の選手なだけに小柄で、木村とのパワー差は明白だろう。
だが、「田中君に負けて、自分に技術が足りないことを痛感した。復帰を決めてからは、その足りない部分を特に意識しながら、練習に取り組んでいる」(木村)
具体的には、「ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)のような動きを取り入れている」と、パウンド・フォー・パウンド・ナンバーワンの男の名を口に出すが、「いや、あくまでも取り入れているだけで、あんな動きはできません」と苦笑いを浮かべながら否定した。
フィジカルの強さを背に、真正面からのパワー勝負を挑んでいくスタイルは、木村の最大の魅力だが、そこにのみこだわり過ぎたことも事実。ロマチェンコのように、サイドへ出て展開を広げるという視点は、攻防いずれにおいても重要。その取り組みはプラスにこそなれ、決してマイナスにはならない。
「また世界をうかがうためにも、それにふさわしい内容ある試合をしたい」
“第2の故郷”で、技術も見せつけた上での鮮やかな復活劇を期待したい。
文&写真_本間 暁
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