上写真=計3度のダウンを奪われた板垣(左)だったが、最後の最後まで戦い抜いた
11日、広島・NTTクレドホールで行われたOPBF東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのエドワード・ヘノ(26歳=フィリピン)が同級12位の板垣幸司(35歳=広島三栄)を3-0(117対108、118対107、119対106)の大差判定で下し、3度目の防衛を果たした。板垣は地元・広島で挑んだ大一番だったが、3度目のタイトル挑戦も悲願のベルト奪取とはならなかった。勢いに乗るヘノは、これで14勝5分と無敗をキープしている。
2017年2月のWBOアジアパシフィック王座決定戦(vs.堀川謙一=三迫)、2018年4月の日本ライトフライ級タイトルマッチ(vs.王者・久田哲也=ハラダ)に続く3度目のタイトル戦となった板垣。“最後の挑戦”という位置付けで決死の覚悟でリングに立ち、初回からジャブを積極的に出して挑んでいった。だが、サウスポー、ヘノの強いプレッシャーに早くも押される展開に。
それでも、なんとか潜り込もうとする板垣に対し、ヘノが放つ右フックやアッパーは効果的で、王者は強烈な左を差し込んではサッと引いて距離を掌握していった。4回、相手の左の打ち終わりに合わせた板垣の右で、一瞬、ヘノがグラついたものの、依然として展開を変えられない。この回終了後の公開採点では、ジャッジ三者ともヘノを支持。
粘り強く手を出していく板垣だったが、ついに7回、ヘノの左で最初のダウンを喫すると、8回には、強烈な左ボディを浴びて、スリップ裁定となったが、キャンバスに手をついてしまう。回を追うごとに苦しい展開となった板垣だったが、決して勝負を諦めることなく攻め続け、後半は追いかける展開に持ち込む。だが、コンビネーションからの右をヒットするも、パワー不足は否めなかった。最終回、消耗が隠せない板垣は、ヘノのプッシュ気味の右フックで2度のダウン。最後まで途切れることのない会場からの「コウジコール」に応えることは叶わなかった。
悲願を果たせず、リング上から「すみませんでした」と何度もファンに頭を下げた板垣は、「距離が遠くてパンチが当たらなかった。点差が開いての結果。完敗です」と試合を振り返り、
「心残りはないです」と、15年の現役生活にピリオドを打つ意向を示した。
強豪との対戦を組んで板垣を鍛え、何度もチャンスをつくってきた藤本雅義会長は「最後は死力を尽くして戦った。頑張ってやり遂げたボクシング人生をたたえてあげたい」と愛弟子の長年の奮闘をねぎらった。
文&写真_西村華江
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