アマチュア出身のスター候補、中野幹士(帝拳)は2日。東京・後楽園ホールでフェザー級6回戦を行い、エカラック・ラップラコーン(タイ)を1回1分39秒でKO、デビュー戦に続き、プロ2戦目もKO勝ちを飾った。
「すぐに終わってしまったから、何も分かりません」
笑顔がなかなか出てこない。デビュー戦では堅くなり、自分の力を見せられなかったという。2戦目は気楽に戦うためのこれも準備の試合。しかし、中野本人としては、練習で積み上げてきたものを少しは見せておきたかった。
たしかに対戦相手との力の差はあった。それでも勝ちっぷりはかなり豪快だ。サウスポースタンスからの右ジャブでコントロールしながら、クロス気味に打ち込んだ左が鋭い。フィニッシュはボディ目がけて投げ込んだ左ストレート。これがレバーにめり込んだ。エカラックはうめき声を上げながら、レフェリーのカウント10を聞いた。
「打ったら入っちゃったという感じです」
ニックネームはデビュー前から用意されている。
『マノス・デ・アセロ』
このスペイン語の意味は鉄の拳。コーチのカルロス・リナレス・トレーナーが名付け親。その異名どおりのKO劇ではないか。
「いやあ、こんなに早く終わったら、鉄なのか、それとも、そのへんのなんてことのない拳なのか、すべてはこれからです」
中野が満足できないのは、明日をしっかりと見つめているからだ。願いをかなえるために、この日は見えなかった課題に取り組んでいる。
「ジャブをもっと鋭く、たくさん打ちたい。それになんと言っても持久力です。8回戦に上がったら、後半勝負という展開になるかもしれません。そこを勝ちきるだけの体力がまだ足りません」
今日の日が合格点かどうかその日までお預けです、と中野はやっと笑ってみせた。
取材◉宮崎正博
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