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2018-12-24

【ボクシング】全日本新人王決定戦スーパーライト級 遅れてきたハードパンチャー遠藤健太が栄冠つかむ

写真上=左ストレート一発で岡田を沈めた遠藤
写真◎小河原友信

 無敗同士が顔を合わせたスーパーライト級は、遠藤健太(帝拳)が左強打を爆発させて岡田翔真(姫路木下)に2回TKO勝ち。34歳で全日本新人王の頂点に立ち、合わせて敢闘賞も受賞した。

左一撃でフィニッシュ

 サウスポーの遠藤が立ち上がりからパワーとスピードの差を見せて岡田を圧倒した。力強く前に出てくる元ラガーマンの岡田をタイミングのいい左で迎え撃ち、早くもぐらつかせる。2回に入ると劣勢を悟った岡田が懸命にワンツーを放って遠藤を追うが、ここで青コーナーを背にした遠藤が左ストレートを直撃。派手に倒れ込んだ岡田はカウント中にストップされた。

「良かったです。前回の試合がだめだったんで、取り返そうと思って……」

 東日本の決勝は、引き分け勝者扱い。「練習の1割も出ない」としょげかえった遠藤が、一転して喜びにひたった。空手、メキシコ、そして帝拳。流浪の人生に培われ、自然に飛び出したKOパンチだった。

メキシコの出会い

 大阪出身。もともとは空手からスタートしたが、パンチの強さを見込まれてボクシングに転向。アマチュアの奈良大和ジムで練習するうちに、今度はメキシコ行きを勧められた。高校卒業後、土木作業員や荷揚げなどをしながら生計を立てていた遠藤は「ボクシングで稼ぎたい」と夢を抱き、海を渡った。

 メキシコで偶然、元日本・OPBF王者の佐々木基樹さんと出会う。佐々木さんの紹介で、元ボクサーが経営する日本料理屋でアルバイトしながらボクシング修行。アマチュアで6勝6KO1敗の戦績を残す。帰国に際して佐々木さんに帝拳ジムを紹介され、以来、大和心トレーナーに師事してきた。

 2月に33歳でデビュー。3戦目で迎えた東日本の決勝では「ただ振り回すだけだった」と反省した。見かねた本田明彦会長から直々に頭のポジションを矯正され「いやというほど」左のカウンターを練習させられてきた。

「トシだから、来年中にはタイトルに挑戦する」。遅れてやってきた強打のサウスポーは、猛烈な勢いで時間を取り戻しにかかる。

取材◎藤木邦昭

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