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2018-12-14

【ボクシング】京口、谷口とともにデビューした第三の男 小山内幹、生き残った!

上写真=初のランク入りが濃厚となった小山内。同僚・谷口も心底喜んでいた

13日、東京・後楽園ホールで行われたバンタム級8回戦で小山内幹(ワタナベ)が日本スーパーフライ級12位の田之岡条(小熊)に3-0(79対74、78対74、77対75)の判定勝ち。クロス気味の左を中心に要所にヒットを重ねると、終盤はコンビネーションをまとめて追い込み、サウスポー対決を制した。

「プレッシャーに押しつぶされそうだった」

 相手の再三のバッティングで負った左目上、左側頭部、頭頂部の3ヵ所の負傷にも冷静に戦い抜き、初の日本ランキング入りを濃厚にした小山内は「これに負けたら、もう自分は最後だと思っていた。これで、もう1回、(上を)目指せるかな」と安堵の表情を浮かべた。

 主将を務めた青森北高、明治大で73戦56勝17敗の戦績を残した。タイトル獲得歴こそなかったものの、同じ日にB級テストを受験した大商大・主将の京口紘人、龍谷大・主将の谷口将隆とともにアマチュアホープとして、ジム期待の存在だった。だが、デビュー戦には判定勝ちしたものの、ケガで1年のブランクをつくり、復帰後は2連敗。デビューから1年3ヵ月でIBF世界ミニマム級王者となった京口、日本、東洋太平洋と2度タイトルに挑戦した谷口に完全に置いていかれた。

「焦りというより自分に落胆して。プレッシャーに押しつぶされそうになっていました。ジムのみんなの試合を応援に行って、みんなが勝ったときは、うれしいにはうれしいんですけど、胸の奥がギュッとなるような気持ちもあって……」

 今年1月からは単身フィリピンに渡り、「ボクシングに全部、捧げられる環境」で自分を見つめ直した。4月には現地で試合もし、2回TKO勝ち。再起も果たしたが、約半年のフィリピン滞在で最大の収穫は、等身大の現在の自分を受け入れられたことだったという。

悔いのない練習をして、悔いのない試合を

 帰国後の9月には、中学のころからの友人で、一緒に高校にボクシング部をつくり、この日のセミで勝利した佐川遼(三迫)が松本亮(大橋)を3回TKOで破り、一気に日本ランク上位にジャンプアップ。11月には、谷口がタイでタイトル3度目の挑戦でWBOアジアパシフィック・ミニマム級王者となった。だが、今回のランカー挑戦が決まると「悔いのない練習をして、悔いのない試合をする」ことだけに集中してきた。

「自分の思うようにはいかなかったですけど、全部出せたので、今の自分はこれぐらいの実力なんだということを痛感させられて、よかったです。また次に向けて頑張ります」

 京口、谷口もそろってリングサイドから声援を送る中、1年5ヵ月ぶりとなる後楽園ホールでようやくつかんだ上への足がかり。

「結果につなげることが、どれだけ難しくて、大変なことかがわかりました。本当に悔いのないくらい練習してきたので」と勝利を噛みしめた小山内は「さっき次に向けて、と言いましたけど、ちょっと休みたいですね」と笑った。

文&写真_船橋真二郎

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