写真上=久々のチャンピオンベルトに感無量の仲村
写真◉ボクシング・マガジン
1日にエディオンアリーナ大阪で開催されたWBOアジアパシフィックのダブルタイトルマッチ。スーパーフェザー級の王座決定戦は、仲村正男(渥美)がカルロ・マガリ(フィリピン)に10回TKO勝ちで王座獲得、ライトフライ級はチャンピオンの小西伶弥(真正)が挑戦者リチャード・ロサレス(フィリピン)に8回TKO勝ちで初防衛に成功した。
24勝のうち23KO(3敗)という強打が売り物の仲村だが、この夜に見せたのは綺麗なアウトボクシングだった。「12回フルに戦うスタミナを準備してきましたから」と、ジャブを突いては回り込み、強い右を当てても深追いしない。マガリの豪快に振り回すパンチを警戒してのことだ。
冷静に試合を運んでいた仲村だが、4回、一瞬ガードが下がったところに右をもらって尻もちをついてしまう。マガリのパンチ力を思い知らされたが、深いダメージはなく、立ち上がるとフットワークを再開。パワフルな前進を繰り返すマガリに左を多用し、力を抜いたショート連打を浴びせる戦法に切り替える。7回には右でマガリの左目上を切り裂き、この傷が悪化して10回にはドクターチェックでストップを迎えた。
仲村は2011 年に東洋太平洋タイトル初防衛に失敗して以来、7年ぶりの王座復帰。途中、2年のブランクを挟んで最前線に帰ってきたが、これで7連勝5連続KO勝ち。「防衛してこそ真のチャンピオン」と、新たな目標を語った。
ライトフライ級は3回にロサレスがオープンブロー、4回に小西がローブロー、7回にはロサレスがホールディングでそれぞれ減点と、荒れ模様の展開。乱戦の原因となったのは「あんな選手は初めて」と小西がこぼしたロサレスのラフファイトにあった。
思い切りパンチを振り回しては、ボディを攻められるたびに低いと主張するロサレスに「正直、苛立ちましたね」と小西。それでも挑戦者との技術の差は明らかで、噛み合わないながらも的確なパンチでポイントを重ねる。8回には小西が右からの連打で追い立てると、ロサレスのコーナーが「降参」のタオル。これにロサレス本人は納得せず、セコンドに不満をぶちまけてリングを降りた。
試合後は開口一番「ごめんなさい」と謝った小西。「不甲斐ない気持ちで一杯。あの相手なら3回以内に倒さないと。ワンツーで終わってしまうのも、一生の課題です」。2018年は世界挑戦も経験したが「もう一度なんて、胸を張って言えない。これが僕の実力です。もっと自分に厳しく精進していきたい」と出直しを誓った。
取材◉藤木邦昭
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