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2023-06-01

【陸上】日本選手権展望<女子フィールド種目>日本記録保持者が多数登場。女子走幅跳、三段跳はレジェンドの記録に挑む

女子棒高跳日本記録保持者の諸田、女子走幅跳日本歴代4位の秦、女子三段跳日本歴代2位の森本(左から)

6月1~4日、大阪・ヤンマースタジアム長居にて開催中の第107回日本選手権。注目は女子フィールド種目。現・日本記録のさらなる更新、日本新記録誕生が期待できる。

 日本初試合のマッカーサー

今年の日本選手権は女子フィールド種目に、日本新記録が期待できる種目が多い。

棒高跳は諸田実咲(アットホーム)、円盤投は郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)、ハンマー投はマッカーサー・ジョイ(NMFA)、やり投は北口榛花(JAL)と、4種目の現役日本記録保持者が参戦する。中でも諸田とマッカーサーは今年に入って記録更新をしており、今大会でも日本記録更新の可能性が高い。

諸田は4月1日に4m41を成功し、日本記録を11年ぶりに1cm更新した。その後も4m30台を2試合で跳び、5月5日の水戸招待ではクリアこそなかったが、4m37にいつもより7インチ長い14フィート7インチのポールで挑戦した。この長さは前日本記録(4m40)保持者の我孫子智美が使っていたポールと同じ長さである。

日本選手権では「天気が良くて、ほどよい追い風が吹いたら、4m50を跳びたいと思っています」と未到の高さに意欲を見せている。


女子ハンマー投日本記録保持者のマッカーサー。日本での初試合で待望の70m超に期待(写真/本人提供)

マッカーサーはアメリカ・カリフォルニア州を拠点にトレーニングを行っている。父親が日本の国内リーグで活躍したバスケットボール選手で、母親が日本人。1999年生まれの23歳で、2016年の世界ジュニア(現U20世界選手権)にアメリカ代表として出場している。22年から日本陸連に登録した。

今年4月7日のRon&Sharlene Allice Trojan Invitationalで69m89と、日本記録を19年ぶりに2m12も更新した。4月28日にも69m72を投げている。日本での自身最初の試合で、日本人初の70mスローを実現させてしまうかもしれない。

14m台の気運高まる女子三段跳

走幅跳は2006年に池田久美子が跳んだ6m86(+1.6)、三段跳は1999年に花岡麻帆がマークした14m04(+1.1)が日本記録。レジェンド2人の記録に挑戦する選手が現れている。

走幅跳は秦澄美鈴(シバタ工業)が5月3日の静岡国際で、6m75(+2.0)の日本歴代4位をマーク。5月21日のセイコーゴールデングランプリではファウルだが、日本記録前後の距離を跳んでいた。秦澄自身「静岡のときより跳んだ感覚があった」という。

「日本記録は射程圏内。日本選手権は攻めていきます(笑)」

日本記録を更新すれば、6m85の世界選手権参加標準記録も同時に突破する。3位以内に入ることも確実で、世界選手権代表入りが内定する。


秦はセイコーゴールデングランプリでファウルながら日本記録付近の跳躍を披露(写真/黒崎雅久)

三段跳は5月6日の木南記念で森本麻里子(内田建設AC)が13m80(-0.2)、髙島真織子(九電工)が13m75(-0.5)と好記録をマーク。14mへの期待が高まっている。

森長正樹コーチによれば森本は、かつての花岡のように体力的な部分が秀でている。「大腿部をしっかりスイングさせて脚全体を振り下ろして、地面を捉える跳躍に変えてきました」(同コーチ)

森本は昨年も13m84(+1.3)と13m82(±0.0)を跳んでいる。花岡とはセカンド記録の13m82、サード記録の13m80が同じで、13m80台が3試合というのも同じ。14mはいつ跳んでもおかしくない。

髙島は5月20日の九州実業団でも13m72(+2.0)と、2試合連続で13m70台を跳んだ。14m越えにも意欲を見せている。

花岡の14m04は女子で唯一残っている20世紀の日本記録。今年の日本選手権が女子三段跳の歴史を変える大会となるか。

文/寺田辰朗 写真/毛受亮介、中野英聡、黒崎雅久

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