※上写真=試合直後の控え室で健闘を称え合った阿久井(右)とアブシード。「試合でこういう経験をすることが大事」と前を向いた(写真◎船橋真二郎)
28日、サントピア岡山総社で行われたフライ級10回戦は、日本フライ級5位のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)がWBA世界フライ級11位のジェイセバー・アブシード(フィリピン)に8回TKO負け。地元で迎えた世界ランカー挑戦は、無念の結果に終わった。
8回、ロープ際でアブシードの連打にさらされ、レフェリーがストップをかけると、倒れ込んだ阿久井は右ヒジを押さえて、痛みを訴える。初回に右ストレートを打ち込んだとき、左構えのアブシードの右フックと交差して痛めてしまい、「右を伸ばせなくなった」と試合後に明かした。
それでも巧みに左ボディを効かせるなど、あの手この手で試合を運んでいた阿久井だったが、6回、「右の引きが甘くなった」一瞬を左カウンターで突かれ、ダウンを奪われる。ダメージが足に残るなか、落ち着いてカウント8で立ち上がったものの、またも左ショートを合わされ、2度目のダウン。ブロックにステップ、クリンチを駆使し、辛うじてゴングに逃げ込んだ。
窮地に陥った阿久井は7回、「あれで(右の)最後の力を使った」という右アッパーを効かせて形勢逆転。強弱を織り交ぜた連打で押し込み続けたが、粘るアブシードを仕留めきれず。「あそこで倒しきれなかったのがすべて」と振り返った。だが、早々のアクシデントやプロ初のダウンにも集中を切らさず、最後の瞬間まで冷静に戦い抜き、あらためて非凡なところを証明したと評価もしたい。
試合直後にアブシードの控え室を訪ねた阿久井は「ベリーストロング。ハードパンチ」と勝者を称え、「いつかもう一度、戦おう」。悔しさをにじませながらも「今回、東京でいいスパーリングもできたけど、試合でこういう経験をすることが大事」と前を向いた。
取材◎船橋真二郎
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