【日本選手権】女子三段跳・森本麻里子が24年ぶりの日本新14m16！　「スーッと加速したまま踏切板まで走れた」地元での14m超えに涙

６月１日から開催中のブダペスト世界選手権代表選考などを兼ねた第107回日本選手権（大阪・ヤンマースタジアム長居）。３日目の女子三段跳で、森本麻里子（内田建設AC）が５回目に14m16（＋0.7）を跳んで５連覇を達成。1999年に花岡麻帆が樹立した日本記録（14m04）を24年ぶりに12cm塗り替えた。

１回目はファウルながら「手応えがあったので落ち着いていけば（14mは）超えてくる」と感覚はつかんだ。４回目にセカンドベストの13m81（＋0.4）をマーク。５回目に髙島真織子（九電工）が13m82（＋1.3）を跳んでトップを譲るも、その直後に歴史を塗り替えるビッグジャンプを成し遂げた。

「助走の最初の６歩からしっかり押していけて、上下動なくスーッと加速したまま踏切板まで走れました」

大きな放物線を描くようなジャンプで、日本記録のラインを超えて着地すると、バックスタンドから大きなどよめきがわき起こった。「思っていたより観客の皆さんがおぉーってなったので、私もおぉーって思って」と笑いながら振り返る森本。着地した瞬間に両手を挙げ、記録を確認するとガッツポーズで喜びをあらわにした。

地元大阪の地で念願の14m超え、日本記録更新を果たした森本。会場には太成学大高時代の恩師である坂井裕司先生らの姿も見えた。「素直にうれしいです。中学時代の恩師も来てくれて、坂井先生にも会えて……。自分ひとりの力では達成できなかったので感謝の気持ちでいっぱいです」。終始、笑顔で取材に応じていた森本だが、恩師たちへの感謝を口にすると、涙をこらえきれず声を詰まらせた。

今季はファウルではあるものの何度も14m前後の跳躍を披露。５月頭の木南記念の際には「（日本記録）更新の楽しみは日本選手権まで取っておきます」と話していたが、その言葉をしっかり体現し、24年ぶりに女子三段跳の歴史を動かした。「毎年コツコツ自己ベストを更新してきて、やっとアベレージが上がってきたなかで14mを超えられたのはよかったです」と、これまでの過程を振り返る。

だが同時に、14m台突入は世界に挑むうえでのスタートラインでもある。

「今年はブダペスト世界選手権でしっかり戦うことを目標にしているので、アジア選手権で優勝してブダペストにつなげていきたい。レベルが高いなかで切磋琢磨していき、まだまだ記録を伸ばしていって、女子三段跳が日本の“お家芸”と呼ばれるようにしていきたいです」


枚方中、太成学大高出身の森本が地元で日本記録をマーク