
アメリカンフットボールの第66回早慶戦は、4月29日、初夏を思わせる日差しの駒沢陸上競技場で行われ、早稲田大学が快勝した。試合後、早稲田のサイドラインの端でQB#1柴崎哲平が清々しい笑顔を見せていた。

【早稲田 vs 慶應義塾】試合後スコアボードに目をやり、満足げな表情を見せるQB #1柴崎哲平
早稲田は、昨季までチームを牽引した坂梨陽木や、現IBMの政本悠紀ら、自らのランでリズムを作るタイプのQBが多かった。そんな中、今季、エースとしてひとり立ちを果たした柴崎のプレーぶりは、早稲田に久しぶりのパッシングQB誕生を感じさせた。

慶應義塾ディフェンスのプレッシャーをかわしながらパスを投じる早稲田QB#1柴崎哲平
今季より就任した坂本智信オフェンスコーディネーターが、この試合に用意したプレーコールは、アウトサイドへのミドルパスをはじめ、RB#7元山、#30片岡のインサイドのラン、ランからのプレーアクションパスと、テンポ重視。「日頃から信頼関係ができている」という柴崎の強みを存分に生かすパッケージだった。
「早稲田のパスは強いというのを見せたかった」という柴崎が投じたパスは28回。うち成功が21回、被インターセプト0という安定したパフォーマンスとなった。しかし、序盤にゴール前まで進みながらでタッチダウンに繋げられず、フィールドゴールにとどまった2本のドライブを「焦りはしなかったが、詰めの甘さが出た。今後は決定力をつけたい」と反省した。

RB#7元山伊織にハンドオフする、QB#1柴崎哲平
柴崎は小学校低学年から富士通フロンティアーズフラッグフットボールクラブ(FFFC)でフラッグフットボールを始めた。まだ20歳だが、フットボールキャリアは長い。プレーの理解はもちろん、己の弱点、武器も熟知している。

慶應義塾ディフェンスをプレスナップリードするQB#1柴崎哲平
「坂梨さんに付いて学んできたリーダーシップは、まだまだ発揮できていない。しかし、プレースタイルについてはタイプが違う。自分は自分、これまで通り長所を生かし、パスでチームを引っ張っていきたい」と語った。同時に「自分は走るのは苦手」と課題も口にした。

得意のパスを投げる、QB#1柴崎哲平
フラッグ時代、そして早大学院を通じてのチームメイト、DB#31高岡の父でもある高岡監督は、柴崎が小学生の頃から彼を見てきた。「柴崎のことは信頼しているし、これからも彼のスタイルを生かした、彼らしいプレーをしていけばよい。本当は走るのも上手」と評価する。
柴崎は今年、6月に中国で行われる「第3回世界大学アメリカンフットボール選手権大会」の日本代表に選出された。初の代表だ。「セレクション時から皆レベルが高く、そんな中でも自分の成長を実感できている。もちろんエースを狙いに行くし、自分が活躍してチームを世界一に導きたい。とてもワクワクしている」と語った。
QBは、関東1部TOP8のライバルを見渡しても、昨年甲子園ボウルで優勝し、年間最優秀選手賞のチャックミルズ杯を受賞した日大の林(2年)や、高校時から対戦経験のある法政大の野辺(3年)ら、好選手が揃う。「タイプは違うが、彼らにはチームとしても絶対に負けたくない。」という。
春季シーズンはこの後、立命館大との定期戦も控えている。柴崎は、「フィジカルの強いチームに真っ向勝負を挑み、自分たちのスキルがどれくらい通用するのか計りたい。もちろん絶対に勝つ」と言い切った。

慶應義塾DL、LBの動きをリードする#1QB柴崎哲平

試合後のハドルで笑顔を見せる早稲田大学#1QB柴崎哲平
【写真・文/北川直樹】
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