不定期掲載のこのコーナー、今回は「スポーツカードミント広島店」にお邪魔しましたよ。
中国・四国地方のカードファンの皆さん、そしてカープやサンフレッチェやドラゴンフライズを応援に広島にやって来る皆さん、必読です!
待望の開店だ!
トレーディングカード流通のいわば「空白地帯」でもあった広島に3月26日、ミント広島店がついにオープンした。
さっそく訪ねてみると、そこは癒やしの空間だった!?
広島は、トレーディングカードの流通という点では「空白地帯」と言えた。プロ野球の本拠地がある街やその商圏で唯一、日本最大のチェーン「スポーツカードミント」の直営店が存在していなかったのだ。
広島東洋カープの絶大なる人気を考えれば、どうしていままで店舗を構えていなかったのかまったく不思議だった(かつてフランチャイズ店が存在していたことはあるが)。もちろんそれは、当の本人たち、つまりミントのスタッフも感じていたことだった。
「やっと、文字通り、念願がかなった、という言葉が、ふさわしいんですよ!」
「東京はもちろん、大阪にも、仙台にも、福岡にも、札幌にも、店舗があるのに、広島には、なかったんですから」
店長の柴田哲平も興奮を隠せない。
…隠せないのだが、グイグイと押し出してくるわけではなく、柔らかでふんわりとした言葉のつぶやき加減が妙に心地よい。ゆったりとしたヨガのリズムと言ったらいいのか、脳みそがじわじわと緩んでいく感覚。なんだなんだ、いきなり癒やされたぞ。
「本当に、いい場所が、見つかりました。新規開拓、その命題は、場所です。ここは、ドン・キホーテさんの中。良かったですよ」
「だって、初日には、開店と同時に、店内がごった返したんですよ。お客様が、入り切らなくて、店頭から、あふれてしまったりして」
興奮の高まりは、店長の口から次々に言葉があふれてくることでよく伝わってきた。でもリズムはゆったり。うん、いい感じ。
店長の言うように、本当にいい場所にある。
だって、広島の繁華街のど真ん中・八丁堀に構えるドン・キホーテのエスカレーターを5階まで上がっていくと、その目の前なのだ。東京の新宿店や渋谷店、大阪の梅田店、神戸の三宮店にも勝るとも劣らない好立地である。
ここが、柴田店長の新しい挑戦の場になった。
東京生まれ、東京育ち。広島に来る前までは吉祥寺店の店長だった。サラリーマン的に言えば東京から広島への長距離赴任辞令である。直線距離で660kmを超える異動。見知らぬ土地できっと苦労のスタートだろう、と話を進めていくと、どうも様子が予想とは違う。目がキラキラしている。
「いや、自分から、希望したんです。どこかに、新店ができるならば、行きたいって」
店長は次から次へと想いを口にした。聞けば聞くほど、その朴訥な語り口調と真逆の熱さの持ち主なのだということが分かってくる。
もともとはTCG(トレーディングカードゲーム)が好きでこの業界に入ったこと。
ミント本部で営業マンとして働き、TCGはもちろん、スポーツカードも担当していたのだが、もっともっとスポーツカードの素晴らしさ、楽しさを世に広めたいと強く感じるようになったこと。
多くの人に知ってもらうには、やはり自ら店頭に立たなければならないと決意したこと。
「地に足をつけて、スポーツカードの魅力を、広げるには、店頭が一番だと思って」
こうして店舗運営の部署への異動を希望し、広島店の開店という大チャンスに巡り合った。
だから、広島行きを伝えられたそのとき、最初に訪れたのは「やっと来たか!」の武者震いだった。
繁華街の中心にあるので、ショッピングや観光のついでに寄っていくお客様が多いのだろう、と思っていたのだが、大間違いだった。
「ずっと待ってました…そう言ってくれるお客様が、たくさん来てくれるんです。みんな、望んていてくれたんですね。観光とか買い物とかとは関係なく、ここで過ごすことを、目的に来てくださって、コーヒーを飲みながら、一日中、お店でカードを見たり、私と話したりしてくださるお客様まで、いるんですよ」
「しかも、県内からだけではないんです。山口、島根、岡山といった、近隣の他県からわざわざ来てくださいます。この前は、愛媛から、フェリーに乗っていらした方まで。もう本当に、どれだけ待ってくださっていたんだろう、とうれしくて!」
店長がずっと心に留めてきたあふれる思い−−「店頭で魅力を伝えたい」の熱風が、広島とその周辺のカードファンの飢餓感を温め癒やしている。
広島という土地柄も店長に味方しているようだ。
「スポーツを、地域ぐるみで応援しよう、という空気が、他の地域よりも、強い気がします。文房具から生活雑貨から、街中のいたるところに、カープのマークが飾られていて、ここのドン・キホーテのレジの方も、ユニフォームを着ています。タクシーの運転手さんもそうですしね。すべてが、一体化しています」
「だからといって、カープだけなのかというと、そうではないんです。例えば、サッカーのサンフレッチェ広島も、バスケットボールの広島ドラゴンフライズも、広島の皆さんが熱を上げて応援しています。スポーツがみんなに根付いています」
そういう県民性のようなものは、お客さんの様子を見ていてもよく分かるのだという。
「例えば、BBMカードで言えば、まず1stバージョンが、よく売れていて、ICONSも、惜別球人も、どんどん出ていきます。もちろん、5月発売の、カープのチームパックを、楽しみにしている人は多くて、予約もたくさん入っていますけど、すでに発売された、ヤクルトやロッテもDeNAも、よく売れています。女子プロレスも、どんどんと売れていきましたしね」
「需要が、あったんだと思います。スポーツカードを求められているお客様は、確実に、いらしたんです」
店長に話を聞いたのは、開店から1カ月もたっていない4月中旬のこと。上々のスタートに顔もほころぶが、だからこそ、この好循環を続けていくことが重要だと気を引き締めている。
「苦労していることといえば、どうやって新規のお客様に、お店の存在を知っていただくか。そこに尽きますね。いま、ツイッターとブログの更新を、進めているのですが、やはり開店直後ということもあって、十分ではないかもしれません。これから、そこは充実させていきたいです」
TCG畑の店長らしく、入口付近にはマジック:ザ・ギャザリングのカードやポケモンカードゲームがずらりと並び、ガラス張りのテーブルが18席と充実していて、店内でカードバトルが繰り広げられている。カウンターも6席と、気持ちよく店頭でBBMカードを開封できる環境が整っている。
店頭に立つという決意を充実の「場」で存分に生かすために、店長にはこんな願いがある。
「お店に来てくださったら、気軽に話しかけてほしいんです。どんどん話してくれませんか。TCGについてはミントの店長の中でも知識・経験ともトップクラスだという自負もあります。そして、スポーツが愛されている広島という土地で、スポーツカード熱、スポーツカード文化が高まっていくようにしたいんです」
ここだけだいぶ早口になった気がした。思いは隠せない。
さっそく、5月には「BBM広島東洋カープベースボールカード2019」の発売を記念して開封大会を開催してくれるそうだ。詳細は広島店のツイッターで発表される予定だ。
この記事を目にして足を運んでくれる方がいらしたら、ぜひそのことを店長に伝えてくれませんか。それがきっと、熱いんだけれどほんわかした名物店長と仲良くなるきっかけになるはずだから。
そうしたらあなたもきっと、ギャップ萌え。
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