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2019-03-18

【インタビュー】「BBM女子プロレスカード2019 TRUE HEART」発売記念インタビュー① 後編高瀬みゆき[AWG Beginning]“脅威の新人”からの脱却大胆なイメージチェンジを敢行したみゆ姐が今年、こだわるのは──

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「BBM女子プロレスカード2019 TRUE HEART」の発売を記念した高瀬みゆき選手のインタビューは、後編。プロレスデビューを果たしてから現在までの歩み、そして大胆なイメージチェンジを決意した思いもたっぷりと明かす。

 一度ならず二度までも断っていたプロレス入りを決意した高瀬みゆき選手だったが、デビューした途端に大きな壁にぶつかったという。しかしそこを乗り越えると、他団体へのレギュラー参戦を果たすなど、大きな経験を積み重ねていった。

 しかし、昨年11月にアクトレスガールズが初めて聖地・後楽園ホールに進出した大会で、周囲の度肝を抜く大幅なイメージチェンジを敢行。トレードマークの黒髪ロングをばっさり切っていたのだ。

「BBM女子プロレスカード2019 TRUE HEART」発売記念インタビュー第1弾の後編は、プロレスデビューから現在までの道のり、そして今後への思いを語っていただいた。

 もちろんイメージチェンジを決意するまでの経緯も明かしてくれている。

PROFILE
高瀬みゆき(たかせ・みゆき)
 9月8日、大阪府泉南郡出身。高校卒業後に女優を目指して上京。雑誌のモデルや舞台出演などを経て2013年に香川県に移住。「かがわ源平紅白キャラバン隊」のメンバーとして平清盛役を務めた。15年からは映画、舞台を中心に活動する一方でYouTubeでの動画配信も行い、「女優+ユーチューバー」を意味する「女Utuber」を名乗った。16年10月よりアクトレスガールズの練習に参加し、17年1月15日の新木場1stリング大会でデビュー(対戦相手はチェリー)。3月にJWP(現PURE-J)、6月にプロレスリングWAVEに参戦。特にWAVEには定期的に出場するようになり、18年はCatch the WAVE出場、さらにレジーナへの挑戦を果たすなど大躍進した。11月のアクトレスガールズ後楽園ホール大会からトレードマークの黒髪ロングをばっさりカットしイメージチェンジをした。
※高瀬の高は「はしごだか」が正しいが、文字化けを避けるため本稿では「高瀬」で統一いたします。ご了承ください。

ファンの推薦からまさかの
WAVEレギュラー参戦に

BBM 高瀬選手は2016年秋からプロレスの練習を始め、17年の1月にデビューされたわけですが、実際にリングに立つようになり、どう感じられましたか。

高瀬 いまはまた少し違うと思うんですが、アクトレスガールズはデビュー前こそ練習生としていろいろ面倒を見てもらえるんですけれど、デビューした途端に他の選手たちとまったく同じように扱われるんです。初期メンバーは2年間ずっとプロレスをやってきたわけじゃないですか。そんな人たちと、まだ受け身も完璧にとれないような私たちが同じ扱いで、他団体さんにもどんどん出される。なので最初は本当に怖くて。リング練習もあまりできませんでしたから、リング上で何をしていいのかも分からないし、相手は正真正銘のプロレスラーの方々ですし。

BBM 確かに不安になりますよね。

高瀬 それで1回、ぶち切れました(笑)。当時、(安納)サオリさんは試合が続いてなかなか一緒に練習できなかったんですが、久しぶりに一緒になったときにいろいろ聞いてもらって。ちょうど堀田(祐美子)さんとのシングルが決まった頃でした。するとサオリさんから「その気持ちも含めて、全部を堀田さんにぶつければいいんだよ」って言われて。

BBM まずは気持ちの部分ということでしょうね。

高瀬 その試合後、堀田さんからは「難しいでしょう、プロレスって。そんな甘いものじゃないし、簡単にできるものでも簡単に分かるものでもないんだよ」ということを言われました。それが私には「簡単にできるものではないのだから、いまできることが1だとしたらそれを100倍頑張れ」と言われているように感じたんです。そこからですね、自分の中でいろいろ変わったのは。いまの環境を200パーセント生かして、毎日どう成長して行くかが大事だと思うようになり、いろいろ行動するようにもなりました。

BBM もともとは自らが進んで始めたわけでもないのに、デビューからわずか数ヵ月で考え方も大幅にレベルアップされている……すごいことだと思います。

高瀬 それだけ必死だったんだと思います(笑)。私はやるとなったらとことんやるってタイプなので、それまでにやっていたアルバイトも辞めて、やるなら身体を鍛えながら稼げることをやろうと、引っ越しや荷揚げみたいなお仕事をして。

BBM 結果、1年目からさまざまな団体に出場するようになりました。

高瀬 PURE-Jさんに出させていただくようになってから、道場の練習にも参加させていただきました。そしてWAVEさんに出させていただくきっかけは本当にラッキーとしか言いようがなくて。夏すみれさんに私の存在を伝えてくださったファンの方がいたから……。

BBM と言いますと?

高瀬 WAVEさんとアクトレスガールズの両方を観てられた方なんでしょうね、どなたかは分からないんですけれど。17年8月にWAVEさんの10周年大会が大田区体育館で開催され、夏さんはYシャツマッチをされましたよね。その試合に出場する選手を夏さんがスカウトされていて、「アクトレスに高瀬みゆきって選手がいるよ」と薦めてくださったファンの方がいたんです。まだド新人でしたからWAVEの皆さんどなたも私のことなど知らなくて、インターネットで検索してみたら「Yシャツ顔だ!」となり(笑)。ですから坂口代表はびっくりだったと思いますよ、「なぜ突然、みゆきにオファーが?」って。

BBM 確かにそうでしょうね。

この入場パフォーマンスも高瀬の魅力。華やかで艶やか、しかも格好いいのがプロレスラー・高瀬みゆきだ

高瀬 それで6月の後楽園大会に出させていただき、大田区への出場が決まったんです。もちろん、私も後から知ったお話なんですけどね(笑)。もう一つ大きかったのが、その6月のWAVE後楽園大会ではCatch the WAVE 2017の準決勝、決勝が行われたんです。自分の試合を終えてセコンドにつかせていただいたんですが、優勝したのが山下りな選手。バッチバチの激しい試合を間近で見て「私もこういう試合がしたい」と思いました。そこから、どんどんプロレスにのめり込んでいった感じです。

BBM しかし濃い1年目ですね。2年目の昨年は110試合以上され、タイトルマッチも経験されるなど、本当に素晴らしい活躍でした。

高瀬 これも本当にWAVE様々ですね。私の場合、WAVEさんの試合で育てられた部分がかなりあると思っています。アクトレスだけしか知らなかったら、ここまでプロレスを好きになってはいなかったかもしれません。アクトレスは良くも悪くも二足のわらじで、プロレスと芸能活動とを並行してやっているわけですが、WAVEさんの場合、皆さんプロレスが大好きで、プロレスラーになりたいと思って始めた方ばかりですよね。私はその中で闘わせていただくことになり、すごい選手たちを相手にただがむしゃらについていくしかありませんでした。

初の後楽園大会開催で
大幅なイメージチェンジ

BBM 確かに相手はプロレスでトップに立とうという選手ばかりですからね。

高瀬 WAVEさんで私が最初にシングルを闘ったのが水波(綾)さん。タックルにしてもエルボーにしても技の一つひとつが威力からして全然違いました。リング上でのパッションもすごいし、攻めていても攻められていても常にエネルギー満載で。お客さんのことも乗せているし、すごく格好いいなぁと思いましたし、感動もしました。

BBM 熱い試合をする選手です。

高瀬 水波さんとの試合を観てくださっていた大畠(美咲)さんからは、「ドロップキックの形が崩れているからもっとこうしたらいい」というアドバイスをいただいたんです。そして次の試合の時、また大畠さんが試合を観てくださっていて、「ドロップキック、良くなっていたね。ちゃんと練習してきたんだね」って声をかけてくださりました。これまでにもアドバイスをくださる先輩はいましたが、その後の改善したところまでちゃんと観て、声をかけてくださったのは大畠さんが初めてでした。それがやり甲斐にも感じましたし、何よりとても嬉しかったんです。

BBM しっかり観ていてくださったんですね。

高瀬 私のドロップキックは、PURE-Jさんに出稽古に行ったときにLEONさんや中森華子さんなど、皆さんに1から教えていただいた、大事な技なんです。でもだんだん崩れていたのをちゃんと指摘してくださって、その後まで観てくださるというプロレスに対する真摯な姿勢に感動しました。もっともっとこの人たちと試合をしたいと思いましたし、もっと学びたいと思ったんですよ。ですから本当に的確なアドバイスをたくさんいただけましたし、ありがたかったです。

BBM いま「ご職業は?」と聞かれたら、なんと答えられます?

高瀬 プロレスやっていますと答えます。「女優をやっています」とは言わないですね。

BBM 高瀬選手が着実に経験を積む中、アクトレスガールズも昨年11月後楽園ホールに初進出したわけですが、そこでまさかの……。

高瀬 イメチェンですね(笑)。

BBM 昨年のカードと比べてもまったくの別人です(笑)。実はその日から新コスチュームにされる予定とはうかがっていたんですよね。ちょうどカードと名鑑撮影の時期でしたので、保険として旧コスでも撮影しましたし。しかしここまでとは……。

高瀬 前は黒髪ロングで、オールバックで髪をしばり。これは香川県での平清盛が生かされていますね(笑)。

BBM いったいどうしてしまったんですか?

高瀬 まずコスチュームを作り直そうとは思っていて。試合も増えましたし、だいぶボロボロになっていましたから、初めての後楽園大会に合わせて新調しようと。その後楽園大会ではアクトレスガールズの初代王座決定戦がメインで組まれていて、それ以前の大会からトーナメントが開催されていました。私もベルトを獲る気満々で臨んでいたのですが、負けてしまいました。

BBM あと一歩、惜しいところまではいったんですけどね。

高瀬 なんとなく感じていたのは、WAVEさんにも出させていただいてく中で、「新人らしからぬ新人」ってイメージが自分についているなと。お客さんの中にある「やっぱり高瀬はまだ新人だから」とか「負けてはいるけどよく頑張っている」ってイメージを払拭したくて。一人のプロレスラー・高瀬みゆきとして観ていただけるように、根本から変えたいなと思ったんです。

BBM それで髪をばっさりと……。

高瀬 実はプロレスを始めるときに髪を切ろうと思っていたんです。でも、アクトレスはショートカットの選手が多いじゃないですか。だからキャラが被りたくないなと思って。そういう経緯もありましたから、今回も切ることに躊躇したんですけどね。「プロレスラーとして、ここからが新たな1年目だ」と思い、決めました。コスチュームもひらひらとした装飾部分は減らして。

上が18年版No.068、下が19年版No.067。大胆なイメージチェンジをした

BBM 後楽園のオープニングアクトのとき、髪を切ったとは知らなかったので「なんで高瀬選手がいないんだろう?」と思っちゃいました(笑)。

高瀬 そうですよね。実は試合前に売店に出るのもためらって。どうせなら試合の入場で驚かせたかったので「売店でお披露目かぁ」って。でも混雑するから試合前に行かねばならなくて、なのにファンの方々がよそよそしいんです。皆さん、新しい練習生と思ったみたいで(笑)。お客さんからは「みゆ姐の売店がないと思った」と言われました。

BBM インパクトは絶大でした。さらに格好良くなったと思いますし。好評だったんじゃないですか?

高瀬 1割くらいの方は「黒髪ロングが良かった」と仰りますが、おおむね好評で「切って良かったね」と言われます。私も切って良かったと思いますし。あと、ロングのときより近寄ってくれるファンの方が増えました。やっぱり怖かったのかもしれません(笑)。

自分がベルトを獲ることで
アクトレスをさらに広めたい

BBM 結果的に今回のカードで高瀬選手のチェキは黒髪ロングと現在の2パターンあってお得になりました(笑)。

高瀬 両方入れていただいて嬉しいです(笑)。

本作には高瀬のチェキは旧コスと新コスの2パターンある。両方ゲットした強者はいるのか?

BBM 商品ボックスに抜擢させていただきましたし、それも昨年の試合数の多さ、そして今年さらなる期待をということです。3年目の今年はどんな1年にしたいですか?

高瀬 昨年最後の大会で、初期メンバー相手に私たち2017年組がシングルではありませんでしたが勝つことができました。そして今年最初の大会で、サオリさんのベルトに挑戦しましたがダメでした。そういう意味では今年はとにかくベルトを獲りたいですね。昨年もベルトを目指してはいましたが、それ以上に新人からの脱却、レスラーとしてしっかりした存在になりたいという強い思いがありましたから。

BBM 間違いなくそれは果たせたと思います。

高瀬 これまでは個人の実力アップが大きかったのですが、今年は自分がベルトを巻くこと、活躍することで、アクトレスガールズを広めていくことにつなげたいと思っています。これまでは私がアクトレスを引っ張っていると思ったこともなかったですし、お客さんの中にも「アクトレスと言えば高瀬みゆき」という方もいなかったんじゃないかと思うんです。でもいろんな選手が他団体でも試合をするようになって「アクトレスガールズと言えば?」と聞かれて、サオリさんたち初期メンバーを挙げる方もいれば、私や関口翔、有田ひめかを挙げる方も出てきたと思いますから。

BBM 一方で、アクトレスガールズには新たにColor'sというもう一つの団体が生まれました。それについてはどのように考えていますか?

高瀬 団体が分かれたとは言え、私にとっては同じアクトレスガールズ。なので2つに分かれたことで相乗効果が生まれればと思います。メンバー構成もColor'sはSAKIさん一人のキャリアが抜けていますが、あとはデビューしたばかりの新人が多いじゃないですか。私たちBeginningは初期メンバーや私たちがいることで、これまで見慣れたアクトレスガールズだと思うんです。なのでSAKIさんが作るColor'sではまた違った色になってくると思うので、お互いのいいところを高めていければいいですね。

BBM ライバルという感じではないのですね。

高瀬 やはりColor'sは新人が多いですから、2団体の対抗戦などをやったとしても、SAKIさんがいるとは言え、いまはBeginningのほうが有利だと思うんです。でもこれからの成長って考えたら、それはColor'sは魅力ですよね。実際、SAKIさんは指導もできる方ですし。

BBM その通りですね。

高瀬 大会数や集客など競う部分はあるでしょうが、いがみ合ったり敵だと思ったりするより、お互いに伸びていきたいと思いますね。私もBeginningの中に、ひめかのように追い上げている選手が出てきていますから、負けてはいられませんし。

BBM 先日のBeginning大会では尾崎妹加選手とシングルで闘いました。そしていま、お名前が出た有田選手のようにパワーを武器にできる選手も出てきて、高瀬選手も力で対抗できる選手ではありますが、また違う面も必要になってきそうですね。

高瀬 はい、私もパワーにこだわっていちゃダメだなと思っています。アクトレスの中では力が強いとやっていられましたが、WAVEさんに出たことで、私がこれからどれだけ努力をしたとしても、水波さんのラリアットやギロチンを超えることはできないと悟りました。私も真っ向勝負が好きなんですけど、ベルトを考えると勝ちを意識しなければなりませんよね。

BBM 健闘したではベルトは巻けませんからね。

高瀬 昨年のCatch the WAVEに出場したことで、自分の好きなことだけでなく、勝つために必要なものを身につけなくてはならないと思いました。

BBM 昨年末に引退されましたが、大畠選手という良いお手本もいましたからね。

高瀬 本当にそう思いました。いま、ひめかとダンベルをどちらが重量を挙げられるか比べたら、まだ私のほうだと思います。ただ、それが同じに並ばれたら、体格では圧倒的に向こうが上ですからね。並ばれないように鍛えればいいと言っても、限界はありますし。そのために必要なことを考えています、ファイトスタイルだったり技であったり。実際、大畠さんもパワーで上回る水波さんに勝ったわけですからね。

パワフルな闘いを信条とする高瀬だが、さらに上を目指すため新たなスタイルを模索する

BBM では文字通り今年はレベルアップの年になりますね。

高瀬 これまでただがむしゃらにやってきましたから、それを一度整理して。また新たな一面を見せられたらと思います。

BBM このインタビューで高瀬選手はもちろん、アクトレスガールズを知る方もいると思います。どんなところを観ていただきたいですか?

高瀬 アクトレスガールズは、プロレスとしてはまだまだ未熟だと思います。でも未熟だからこそ、みんな必死なんですよ。観ていて「はがゆい」と感じることもあると思うのですが、もう少し見続けていただければ、それができるようになっていると思います。その成長の過程を必ず全選手で見ることができるので、そこも注目していただきたいと思いますね。完成されたものを観るのはもちろん素晴らしいことですが、発展途上の選手たちを見続けるのも楽しいと感じていただけると思います。

BBM その中で高瀬選手は……。

高瀬 ストレスが溜まっているとき、スカッとしたいときに私の試合を観ていただければと思います(笑)。その気持ちを私が代わりに対戦相手にぶつけてあげるよって感じで。

BBM いい意味で男前の選手ですから(笑)。

高瀬 「乙女と思っているのは自分だけだからね」って親にも言われます。お洒落もたまにはしますし、自分では結構、女子力のかたまりだと思うんですけど、まったく認めてもらえません(笑)。

BBM リングの上と下とでは全然違うと思いますし、試合を観てから是非、売店に立ち寄っていただきたいですね。

高瀬 はい、絶対に怖くはありませんので。アクトレスガールズも私たちのBeginning、そして別団体のColor'sがそれぞれ大会を開催していますし、もう一つACT大会という両方の選手が出場する大会もあります。そして4月30日にはアクトレスガールズ2回目の後楽園ホール大会が控えています。是非、会場に会いに来ていただければ嬉しいです。

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