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2019-02-07

新春恒例! 2018年のスポーツカード界を総まとめ!若き毒舌店長の初参戦で、座談会は風雲急を告げる?!

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 カードファンの皆様、お待たせしました! 昨年から公開する場所をBBMのホームページに移し、スポーツカードについて今まで以上にアツく語り明かしたディーラーズ座談会が、今年もまた開催されることになりました。

 すっかりおなじみのご意見番・佐伯篤氏とカード界のカリスマ・田村亮一氏が今回、新メンバーとして白羽の矢を立てたのが、ミント立川店の高橋高弥店長。若いながらも歯に衣着せぬ発言とだれにも負けないカードに対する情熱を先輩2人にぶつけました。

 大谷翔平のいなくなった2018年のスポーツカード界で大賞に輝いたのは、どんなカードなのか? これを読めば、あなたのカードに対する見識もより一層深くなりますよ。

【参加ディーラー】(敬称略)
佐伯 篤(SAトレーディング/写真右)
田村亮一(ミント神田店/写真中)
高橋高弥(ミント立川店/写真左)

☆アイテム部門☆
[ベースボールカード]

佐伯 皆さん、またこの季節がやってまいりました!

田村 佐伯さんは今回も取りまとめ役と突っ込み担当をお願いします。

佐伯 初参加の高橋店長には、若手らしい鋭い意見を期待しています。的確な分析を頼みますよ。

高橋 先輩たちの足を引っ張らないように頑張ります。よろしくお願いします。

田村 高橋君はミントでも随一の毒舌社員として有名なんですよ(笑)。私は失言がないように気をつけます。

佐伯 じゃあ、みんな猫をかぶっていきましょうか(笑)。日本から大谷翔平がいなくなった2018年の印象はいかがでしたか。

田村 やっぱり大谷でしたね。2017年は大谷の最終シーズンということで、大谷関連の商品が軒並みよく売れて、サヨナラ大谷ムード一色。その大谷がいなくなって、カード業界は冬の時代が来ると思っていたんですけど。

佐伯 それがなんと、また大谷フィーバーに飲み込まれてしまったわけですが、まず【アイテム部門/ベースボールカード】からいきましょうか。何か印象に残るものはありましたか。高橋店長からお願いします。

高橋 いま大谷選手の話が出ましたが、BBMから2月に出た「Grateful Days」ですね。カードファンのみならず、ふだんカードを買われない一般の野球ファンからも多くの問い合わせをいただいた商品でした。立川店でも初日の一般販売分はなくて、すべて予約完売。すごい人気が印象に強く残っています。

田村 「ルーキーエディション」が出た直後の発売でしたよね。あの商品は、未開封ボックスにすごいプレミアがついてオークションなどに出回っているのが印象的でした。

佐伯 最高値で2万円くらい。ボックス単価は5000円ですけど、最近でもそれくらいの値段がついていました。アメリカではすぐに人気商品の値段が上がってしまうけど、日本でもボックスがプレミア価格で売れていくというのはあまり記憶にないですね。開封済みボックスでもよく売れました。

田村 最低でも3Dカードが入っていて、サインは全部で10枚。あとは初のバットカードとか、いろいろなバリエーションのメモラビリアカードが入っていました。パッケージの写真とデザイン、レギュラーカードがよかったですよね。

高橋 直筆サインのデザインもすごくよかったと思います。

佐伯 他には何か候補はありますか。

田村 プロ野球が開幕してからの商品で考えると、私が一番印象に残ったのは「FUSION」ですね。2017年度版も好評で、前回の座談会は「1stバージョン」「2ndバージョン」「FUSION」の3つでスポーツカード大賞だったんですけど、なぜ2017年の「FUSION」が人気だったかというと、まず1ボックス6000円というラインが「2ndバージョン」以来で、初心者でも買いやすい値段だったということ。さらに、一般層にもアピールする始球式カードがあって、特にももいろクローバーZの百田夏菜子さんが一世を風靡しました。その流れがあっての2018年版だったので、当然注目していたのですが、さらに内容がパワーアップしていたんですよね。その比率が1st、2ndのなど他のアイテムと比較しても一番高かったと思います。

佐伯 具体的にはどの辺ですか。

田村 まず現役クロスサインですね。BBMのチーム別カードに収録されていた「PICTURESQUE」の追加版が入ったこと。それから「2ndバージョン」でも好評だったインサート「PHANTOM」の追加版が「FUSION」はOB選手で収録されたこと。この2つの新要素に加えて、クロスブランド「CROSS UNIVERSE」をモチーフとしたデザインのOBクロスサイン、さらに始球式サインもありました。通常サインも村田修一や清宮幸太郎など、OB、現役ともに魅力的なメンバーでしたよね。サインカードの写真も記録達成のときのものなどがあり、新鮮でした。トータルバランスがとてもよかったと思います。

佐伯 やっぱり安いのはいいですよね。6000円のボックスだと、どんなカードが出てもあまり外れ感がないんですよ。これが8000円以上になると、感覚がちょっと違って、サインはボックス1枚は欲しいし、いいカードが出ないと納得できなくなってくる。その絶妙な価格バランスの中で、運が良ければ大当たりカードも出るというのは魅力的です。

田村 ボックスのデザインもゴージャスな感じがよかったと思います。黒ベースでゴールドをうまく使っていました。カード内容も清宮、松坂大輔、始球式ではSKE48の須田亜香里さん、ももクロの4人がいて、さらに豊富なインサートカードもあり、「FUSION」に足りないのは、大谷だけでした。

佐伯 まさにオールスター勢ぞろい(笑)。松井秀喜まで入っていましたからね。

田村 松井の「PHANTOM」も人気でしたよ。

佐伯 始球式サイン以外では、松井の「PHANTOM」が一番の当たりでしたよね。6000円のボックスでこのボリュームなら、即完売したのも納得です。

田村 年末に発売されて、こちらも人気だった「Glory」は狭い層をターゲットにしていますけど、「FUSION」は万人向けですよね。カードファンの裾野を広げるにもちょうどいいし、コアなファンも楽しめるという意味でも一番手に評価しています。佐伯さんはいかがですか。

佐伯 私は「エポックワン」を持ってきました。タイムリーにカードが出るというのは大事だと思ったんです。

田村 なるほど。長らくいろいろな角度からカード業界を俯瞰で見ている佐伯さんならではの着眼点だと思います。

佐伯 カード化できたのは7チームだけだったんですけどね。MLBの「トップスナウ」のシステムで始めて、1年間を通してやってみて、実験としてはいい試みでした。カードによっては発行枚数が30枚以下のものもありましたが、こういう形態のカードもあるということを認知させることはできたと思います。もう少し吟味していけば、今後も続いていける可能性を示したのではないかなと。

田村 それにしても、かなりスパイキーなところを攻めてきましたね(笑)。

佐伯 「エポックワン」のために、トップローダーが品薄になるという余波まで起きました(笑)。「トップスナウ」もそうなんですけど、販売するときにトップローダーに入れるから、結構な量を消費したんですよね。

田村 神田店でも一時、在庫がなくなりました(笑)。

佐伯 「FUSION」などでもアップデート版や記録や出来事にフィーチャーしたカードは入っていますけど、タイムリーではないんですよね。誰かが記録を達成した直後に、すぐカードが出るというのは、すごく価値があると思います。最初のうちはみんな余裕があって、後で手に入るだろうと思っていたけど、発行枚数もそれほど多くないから、なかなか市場に出回らず、今になって欲しがっている人は多いです。自分で頼めば500円で買えたものが、プレミアがついて1000円以上出さないと買えなくなったりしているカードもあります。

田村 新しいチャレンジでしたよね。

佐伯 でも、1位は高橋店長の挙げたBBMの大谷セットでいいと思います(笑)。

田村 もう少し他の候補も検討しましょうよ。高橋君は今まで出てきた以外で何かある?

高橋 海外カードになりますが、トップスから4月に発売された「ボウマン」ですね。大谷選手の初直筆サインカードがすごく話題になって、1of1サインに2000万円の値がついたと、ニュースでも大きな話題になりました。未来のスター候補やルーキーの初カードが多く入ることで定評がある「ボウマン」は、カードファンなら以前から知っていましたけど、一般の野球ファンの方への認知度が一気に上がったと思います。

佐伯 これも大谷の力ですね。

田村 私も「FUSION」の他の候補として考えていたのが「ボウマン」なんです。大谷効果でボックスの値段も上がったし、BBMの大谷セットと同様に、お店に問い合わせの電話がジャンジャン鳴りました。どこにこんなに需要が隠れていたのかというくらい、勢いがあった。一方で、これまでのカードファンにプロスペクトを集めるとはどういうことかという価値観を知らしめたのも「ボウマン」だったと思うんです。若い有望株に注目しておいて、将来的に成長したときにカードが高値になっていく。確実に日本のコレクターにもプロスペクトという「ボウマン」の概念が浸透したと思います。

佐伯 「ボウマン」は確かにカード業界以外の話題にもなりまし、こちらが1位でもいいかもしれませんね。

田村 2018年のベースボールカードで一番話題になったアイテム、そして周辺への影響も含めていくと「ボウマン」になるんですかね。でも「FUSION」も本当によく頑張っていたし、海外カードは「ボウマン」、国内カードは「FUSION」でいいんじゃないですかね。

佐伯 なるほど。2つに分けましょう。

高橋 確かに「FUSION」もよく売れましたよね。最近でもお客さんからまだ在庫がないか聞かれたくらいです。

封入されていた大谷翔平の直筆サインカードが大きな話題に!
(高橋)

カードファンの裾野を広げ、コアなファンも楽しめた!
(田村)

☆アイテム部門☆
[その他カード]

佐伯 さて、続いて【アイテム部門/その他カード】に行きましょう。

高橋 野球以外のカードですと、私は3つ候補がありまして、まず「INFINITY」。2017年版も好評でしたが、今回もトレカ初心者の入門編カードとして、すごくよかったと思います。オリンピックで活躍した選手も多数入っていたのが人気でした。

田村 そだね~(笑)。

高橋 カーリング女子は吉田知那美、夕梨花姉妹が入っていましたよね(笑)。次にワールドカップイヤーということで、「サッカー日本代表スペシャルエディション」です。日本代表の活躍もあって、よく売れたという印象があります。最後に「Shining VENUS」。サインカードを当てやすいというのが喜ばれていて、安藤美姫さんが初めて日本のトレカに入ったのもフックになったんですけど、他にも森田真結子さんというダーツの選手がネットを中心に大ブレークするという面白い現象が起きたんです。

田村 まよんぬ!

高橋 まったくと言っていいほど無名の存在から、ここまでのシンデレラガールになるというのは夢があると思いましたし、私自身も驚きでした。

佐伯 有名どころではゴルフのアン・シネも入っていましたよね。

高橋 アン・シネ選手はサイン色紙の交換券が封入されていました。でも、それをはるかに上回る森田選手の人気だったと思います。

田村 私は、2018年は大谷のメジャー挑戦と清宮のデビュー、そしてロシア・ワールドカップの年だったと思っているんです。前回のブラジル大会の年もパニーニから出た「ワールドカップ・プリズム」がスポーツカード大賞に輝きましたが、4年たった今回も非常によく売れたし、新しいお客さんもできたし、内容もよかった。ベースボールカード以外のアイテムであれば、断然これですね。前回はブレークしたハメス・ロドリゲスがレギュラーカードになっていなかったんですけど、今回のキリアン・ムバッペは無事にカード化されました。直筆サインはなかったんですが、レギュラーパラレルはネットオークションですごい値段がついていましたよ。

国内カードで行くと、バスケ日本代表セットの「AKATSUKI FIVE」と、先ほど高橋君が挙げてくれた「サッカー日本代表スペシャルエディション」。あまり期待していなかったんですけど、半端ない人気でした(笑)。佐伯さんは?

佐伯 私も「AKATSUKI FIVE」。これはNBAでも活躍している渡邊雄太選手が入っていて、初サインカードだったんですよね。日本人としては久しぶりにNBAでも試合に出て活躍できるレベルの選手ということもあり、海外でも注目されていて、サインはもちろん、メモラやパッチも需要がすごくあります。何よりタイミングがよかったですよね。あとはラグビーの「トップリーグカード」もなかなかよかったと思います。サッカーなら「フテラ・ユニーク」も評価しています。あれ? 反応なし?(笑)

田村 すみません。「フテラ・ユニーク」は全否定です(笑)。もともと大好きなブランドだったんですけど、今回は仕様が悪くなっていて、がっかりしました。

佐伯 じゃあ、そういうカードもあったということで(笑)。今まで挙がった中から、ひとつ選ぶとすれば……。

高橋 「ワールドカップ・プリズム」ですか。

田村 バスケの渡邊、トップリーグのダン・カーターもよかったけど、ワールドカップは盛り上がりましたからね。順当でしょう。

前回大会に続き、非常によく売れ、新しいお客さんもでき、内容もよかった
(田村)

(つづく)

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