9月のBBMカードの最後を飾るのが、
「BBM北海道日本ハムファイターズ“エンタメ”カードセット2017
〜FIGHTERS GIRL & B☆B FAMILY〜」。
スタジアムを彩るチアリーダー「FIGHTERS GIRL」やマスコットたちの魅力を
たっぷり詰め込んだアイテムだ。
中でもやはり注目は、FIGHTERS GIRLの皆さんだろう。
はつらつとしたダンスや笑顔いっぱいのグリーティングなどで
球場を盛り上げている彼女たちの魅力をカードで表現しようと、必死で制作にあたってきた。
そんな彼女たちが心置きなく輝ける理由に、一人の女性の存在がある。
尾暮沙織さん。
いわゆる「ディレクター」としての立ち位置で、彼女たちを温かく見守っているのだ。
今回はこのアイテムの発売を記念して、尾暮さんにいろいろと聞いてみた。
自身もかつてはFIGHTERS GIRLの一員として最前線で活躍し、
引退後は華やかな舞台を裏から支える「いま」、そして「これから」。
FIGHTERS GIRLの魅力を磨き上げ、チームを盛り上げることで
みんなに愛される「北海道日本ハムファイターズ」を作り上げていく秘密とは?
PROFILE
尾暮沙織 おぐれ・さおり
株式会社北海道日本ハムファイターズ 事業統轄本部 ゲストリレーション部 試合運営グループに所属し、主にFIGHTERS GIRLのスケジュール管理などを担当する。
自身も2008年から2013年までFIGHTERS GIRLの一員として活躍しているので、記憶しているファンの方も多いだろう。ちなみに、BBMチアリーダーカードでは3度、カード化されている。
引退後に球団に請われて職員となり、現在に至る。
FIGHTERS GIRLとして2年目を過ごしている梶浦ほのかさんに、こっそりと聞いてみた。
尾暮さん、どんな人ですか?
即答だった。
すごく優しいんです。
私たちがやろうとしていることにダメ出ししないし、自分たちで考えて挑戦してどんどんやってみなさい、と背中を押してくれる言葉をすごく言ってくれます。メンバー全員のことを思ってくれていて、私たちがやりやすい環境を作ってくれて。
だから親しみを込めて、オグさん、と呼ぶこともあります。
ご本人は「親目線」だって言っているんですよ。
そう!
お母さんみたいな存在です(笑)。
私たちを見守っていてくれるんです!
「FIGHTERS GIRLの母」と言ってしまうと失礼かもしれず、実際には「お姉さん」なのだが、あえてお母さんと遠慮なく言ってしまえるところに、メンバーと尾暮さんとの良好な関係がにじみ出ている。
今回のカード制作にあたって札幌で数日間のロケを敢行した。メンバーは2人一組になり、コスチュームと私服でのスチール撮影を屋内外でこなしながら、合間にチェキのレンズに向かって次々に笑顔を振りまいていく。
BBMのあるスタッフが、その日毎の撮影が無事に終了することに感謝して、各日の最後の組にこんなことを提案した。
「最後の最後、尾暮さんとチェキで3ショットを撮りませんか?」
それほどまでに? とこちらが驚き、そしてついつい微笑んでしまうぐらいに、彼女たちはその機会を派手に喜んだ。そして、心の底から飛び出してくる笑顔でチェキに収まった。
メンバーは「尾暮沙織」のその存在を、親子、もしくは姉妹にも似た感情で包み込んでいるのだろう。つまり大事な家族の一員として愛しているのだろう。
そんな生き生きとした感触がこちらに伝わってくる。
では尾暮さんは?
彼女がメンバーをどれだけ大切に思っているかは、これから始まるインタビューを読めば分かってもらえると思う。付け加えるなら、彼女たちの話をしてくれているあいだじゅうずっと、目が優しいのだ。
インタビュー中のその慈しみ深い目をここでお見せできないのが残念で仕方がない。
BBM 今回のカード商品の制作にあたり、いろいろとお気遣いいただきありがとうございました。尾暮さんがそもそもファイターズガールのご担当という立場になったきっかけを教えていただけませんか?
尾暮 もともと2008年から2013年まで私自身もファイターズガールに所属していました。引退することを決めたのと同時に球団から声をかけていただいたんです。ちょうどファイターズガールの担当を作りたいというタイミングだったようで。
BBM ではさらにさかのぼって、ファイターズガールになるきっかけは何だったのでしょうか。
尾暮 父の影響でプロ野球に興味を持ちまして、そこに地元・北海道にファイターズが移転してきたのでオーディションを受けたんです。もともと小さい頃からいわゆるジャズダンスをメインにやっていたこともありまして。
BBM ファイターズガールでもダンス担当だったんですか?
尾暮 いや、まあ、踊れる方ではあったかもしれませんけどね(笑)。
BBM その当時のことをいまでも覚えていらっしゃるファンの方も多いと思います。カードも作らせていただきましたしね(笑)。ところで、引退のタイミングでスタッフにならないかと声がかかるのは、こちらまで運命を感じてしまうほどの出来事です。でも、そのお話がなければどうするおつもりだったのですか?
尾暮 本当にまったく何も考えていなくて…。当時のメンバーの中では一番長く在籍していて、後輩たちも育ってきたので彼女たちに引き継いでそろそろ引退だな、ということまでは決めていたんです。そこで声をかけてもらえて。
BBM 球団サイドとしても、尾暮さんの経験はもちろん、明るさや面倒見の良さを放っておくことができなかったのではないでしょうか。
尾暮 ファイターズガールにいるときも、前面に目立って出ていくというよりは、裏で、陰で全体を見るという立ち位置だったんです。そこを買ってくださったのか、球団の方も「裏で支えるタイプだから、まとめる側に立ってもうまくやっていけるよ」と言ってくださいました。
BBM ファイターズガールとしての経験は、いまのお仕事にものすごく生きているのではないですか?
尾暮 そうそう! そうなんです! 当時の気持ちがよく分かるから、その経験を踏まえていまのメンバーのみんなに伝えていけるんじゃないかなと思っています。
BBM 裏に回る立場だと、他の人が想像できないほど仕事の幅も広く量も多くなると思うのですが、主にどのような内容の業務になるのでしょうか。
尾暮 基本的にはファイターズガールのスケジュール管理、シフト管理、事務的な作業ですね。あとは試合の時にどう動いていくか、どの場所に誰を配置するのか、を組んでいくことですね。ダンスの振り付けは別の方にお願いしていますが。ほかにはイベントの調整や今回のような取材対応の窓口になったりもしますし、メンバーの体調やメンタル面の管理もしていきます。
BBM そのメンタルの話につながるかもしれませんが、今回取材させていただいてひしひしと感じたのは、メンバーの皆さんがとても礼儀正しく爽やかなこと。これはもう、彼女たちを束ねている人の色が出ているね、とほかのスタッフとも話していたんです。
尾暮 本当ですか? ファイターズガールはチアなのでダンスが一番の仕事ではありますが、ファンサービスや接客などいろいろな要素が加わって「ファイターズガール」になるんです。もちろん、ダンスが苦手でも接客が得意、というように、それぞれ得意分野があれば不得意な分野もあります。ただその中でも、まず人としてあいさつがしっかりできなければいけないよね、ということを、必ず最初に話すんです。たとえダンスが下手であってもあいさつがしっかりできれば印象に残るでしょうし、表情とあいさつ、これは必ず誰に対してもしっかりしなさい、ということは口酸っぱく言っています。
BBM それが高じて、時には怒ったりすることも…。
尾暮 怒ることはありません。怒らないです。まったくしませんね。逆に、試合に向けて気持ちが高ぶったり落ちていったりというのは、私と彼女たちがいつも同じベクトルにあるので、逆に気持ちがぴたりと一致するな、と感動することはしょっちゅうです。
BBM とはいえ、立場上、彼女たちと同じように感動してもいられませんよね。彼女たちを指導する特別な方法などはあるんですか?
尾暮 確かに感動ばかりもしていられません(笑)。私はファイターズガールに関わる仕事をする中で、ルールを作りたくないんです。あれをやってはいけない、これはやるべきではない、ということは言いません。ルールも作らない。決まりも作らない。基本的にはメンバー同士で考えて、あれはいいよね、これはよくないよね、という考えを導き出して、そこに私がアドバイスというか声掛けをする、という形です。だから、あれはだめ、これもだめ、ではなくて、迷ったらまずやってみなさい、というスタンスなんです。やってみてダメだったらそれは仕方のないことだし、やってみていい方向に行くことも間違いなくありますからね。
BBM パフォーマーとしての経験があるからこそ、なのでしょうけれど、お話をうかがっていると、教育者であり、先輩であり、お姉さんであり、お母さんであり、ですね!
尾暮 そうですかね(笑)。でも確かに、指導者というよりはもう親目線です、完全に! みんな若いし、初めて入ってきたときから成長していく姿を見ていますからね。1年であっという間に成長しちゃうし、それが本当に楽しいです。
BBM 先ほどもお話にあったように、ファイターズガールはまずチアリーダーでありながら、接客もするしファンサービスもしていく大きなグループです。その「総体としてのファイターズガール」を、今後どのような方向に進めていきたいと考えていますか。
尾暮 よりファンの方々と一番近いところで応援できるチアでいる、という言い方をよくしています。チアの仕事は応援を盛り上げるのが根本にあり、その仕事の一つとして、お客さんの目の前で声を出して汗をかいて応援できるという場があるわけです。それこそがファイターズガールの一番の魅力であると私は思っています。だから、チアそのものの根本を一番直に感じられるのが、「北海道日本ハムファイターズ」なのではないかと思っているんです。
BBM そんな彼女たちのきらめきを見て、ファイターズガールになりたい! という女の子たちが増えているのではないですか?
尾暮 うれしいことに、そうなんです! 北海道は広くて後援会が各地にありますから、お声をかけていただくことが多くて、1年かけて道内すべてを回るくらい、いろいろなことに参加させてもらっています。各地のお祭りに呼んでいただいたり、後援会主体でパブリックビューイングをするところにお邪魔することもあったり。札幌ドームには行けないけれど、みんなで集まって応援したい、というところにファイターズガールを呼んでいただいて、本当にドームで試合を応援している雰囲気を少しでも味わってもらえたら、と思っています。だからもちろん、試合中は一緒に応援しますし、イニング間にはダンスパフォーマンスをしたりもするんですよ!
BBM それはものすごく喜んでもらえそうですね! すると、次世代の発掘も大切なお仕事の一つになりそうですが、24人も所属しているのは他球団に比べても多いですね。
尾暮 特に人数に決まりはなくて、毎年のオーディションで気になった人に入ってもらいたい、というだけで、何人までと決めているわけではないんです。
BBM 採用のポイントはそれぞれだと思うのですが、尾暮さんにとってはどんなことが響きますか。
尾暮 審査基準としては総合的にこれというのはなくて、ダンスが得意なのかビジュアルなのかしゃべりなのか面白いキャラクターなのか、そういう細かいところをそれぞれで見ていって、その集合体がファイターズガールという感じです。
BBM いい意味でバラバラ、なんですね。
尾暮 そう、本当にそうなんです(笑)!
道内各地に足を運ぶことで、「北海道日本ハムファイターズ」を盛り上げる。
インタビューで語られたその活動の、大きな大きな結実と言えそうな思い出を、一人の女性が大切に胸に抱いている。
彼女は地元の近くにやってきたファイターズガールを見にいって、その一員になりたいと強く願った。
そして、その夢を実現させたのだ。
今年から憧れのファイターズガールのメンバーとして笑顔を振りまく、山根朱里さんだ。
昔、ファイターズガールの皆さんが紋別にキャラバンに来てくれたことがあったんです。私はその隣町の興部に住んでいたので見に行ったのですが、ディレクターとして尾暮さんもいらしていました。
あるメンバーの人がものすごくかわいくて、私、声をかけてみたんですよ。そうしたらその方が、冗談だったと思うんですけど尾暮さんに向かって私のことを「この子、ファイターズガールにいいんじゃない?」って言ってくださったんです。
実は私、それがきっかけでファイターズガールのオーディションを受けたんですよ! 実際のオーディションのとき、尾暮さんが審査員として座っていてびっくりしました(笑)。でも、尾暮さんはその紋別でのことを覚えていてくださって、うれしかった。
ところが、オーディションは最初、1次で落ちてしまったんです。でも、やっぱりファイターズガールになりたかった。ダンスの経験はなかったけれど体を動かすことが好きで、でも、地元にダンス教室はなかったので、車で1時間半のところにある北見まで基礎を学ぶために通ったりもしました。そうしたら、次にチャレンジしたオーディションで無事に受かって!
だからもう、最初に紋別で出会ったそのときから、私はオグさんに本当にお世話になっているんです。
どんなときでも前向きなことしか言われたことがありません。大丈夫だからね、と安心する言葉ばかりかけてくれるんです。
そして最後に、山根さんにも聞いてみた。
尾暮さんってやっぱり、「ファイターズガールの母」ですか?
確かに!
間違いないです(笑)!
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