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2024-06-19

変形性ひざ関節症教室 第35回 Q&A 症状・診察・治療編

 中高年になると増えてくる変形性ひざ関節症。これまで変形性ひざ関節症について、構造・機能から、診察・診断、予防・治療などについて紹介してきました。今回から3回にわたり、ひざ痛の患者さんからの質問に、ひざの名医・田代俊之ドクターにお答えいただきます。

Q 反対側のひざが痛くなってきました。大丈夫でしょうか?
A 元のひざの症状が進んでいます

 最初は片方のひざだけが痛かったのに、歩き続けているうちに、反対側のひざが痛くなってくることはよくあります。これは痛いひざをかばっているうちに、反対側のひざにより負担がかかってしまったからです。このような症状が出始めたら、元のひざの症状がかなり進んでいると考えてよいでしょう。

Q 問診時に何を伝えたらいいでしょうか?
A 症状や既往歴を答えられるように準備しましょう


 自覚症状は、診察を進めるうえでの助けになります。
・いつごろから痛くなったか
・痛くなったきっかけがあるのか
・以前にケガなどをしたことがあるか
・どのようなときに痛みが強くなるか
・どのあたりが痛いか
・ほかに痛いところはないか
 などの自覚症状を、はっきり答えられるようにしましょう。
 そのほか、仕事やスポーツ歴などの生活背景や、過去のケガといった既往歴も、どんな病気か見当をつけたり、病気の進行を見極める際に役立ちます。
 診察時に答えられるようにあらかじめ準備しておきましょう。

Q たまっている水は抜くべきでしょうか?
A たまった水を抜くだけでは何の解決にもなりません

 滑膜が炎症を起こすと、関節液が大量に分泌されてひざに水がたまります。ひざに水がたまること自体が原因で痛みが生じることはありませんが、関節内に水がたまり過ぎると、圧迫感を感じたり動きづらくなったりすることもあります。
 針を刺して水を抜くと、圧迫感が解消されて一時的には楽になりますが、根本治療ではありません。滑膜の炎症が治まったわけではないため、水を抜いてもまた水がたまってしまいます。お風呂の水を出しながら、一生懸命汲みだしているようなものです。やはり蛇口を止めることを考えなければいけません。それが運動療法です。適切な運動療法を行うことで、ひざの水は徐々に減ってきます

プロフィール◎田代俊之(たしろ・としゆき)さん
JCHO東京山手メディカルセンター整形外科部長
1990年山梨医科大学卒業後、東京大学整形外科入局。東京逓信病院、JR東京総合病院勤務をへて、2014年に東京山手メディカルセンターへ。2017年4月より現職。ひざ関節の疾患を専門とし、靭帯損傷、半月板損傷、変形性関節症などについて、長年にわたって幅広く対応している。2004年より中高齢者に向けたひざ痛教室を毎月開催している。日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。陸上競技実業団チーム(長距離)のドクターも務める。

この記事は、ベースボール・マガジン社の『図解・即解!基礎からわかる健康シリーズ 変形性ひざ関節症』(田代俊之著、A5判、本体1,500円+税)からの転載です(一部加筆あり)。 Copyrightⓒ2022 BASEBALL MAGAZINE SHA. Co., Ltd. All rights reserved.

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