close

2017-10-13

IBMがエレコム神戸に辛勝 延長TBで決着

Xリーグは10月9日、富士通スタジアム川崎で、第4節のIBMビッグブルー対エレコム神戸ファイニーズの一戦が行われ、IBMが、延長タイブレークの末にエレコム神戸を13-10で破り、3勝1敗とした。IBMは第4節終了時で5位。敗れたエレコム神戸は2勝2敗で同7位となった。

【IBM vs エレコム神戸】延長タイブレーク2回表、エレコム神戸のQB糟谷のパスをインターセプトし、チームメートから祝福されるIBMのDB小林

IBM〇13(延長TB)10●エレコム神戸

前半は両チームともに決め手を欠き、0-0。第3クオーター、エレコム神戸はQB糟谷啓二郎からWR芦田龍居に57ヤードのパスが通り一気に敵陣へ。同4分に糟谷からWR和田俊亮にTDパスが決まって先制。IBMは同11分にQB政本悠紀から短いパスを受けたRB末吉智一がエンドゾーンまで走りTD、同点とした。

第4クオーター、エレコム神戸はK高野篤のフィールドゴール(FG)で10-7と勝ち越した。直後のドライブ、試合時間が残り4分を切ったところでエレコム神戸はQB政本のボールをパンチングしてファンブルさせ、ターンオーバー。エレコム神戸はこのチャンスに、RBジョーダン・カンザリが24ヤードを走って、レッドゾーンまで侵入した。その後フォースダウンで10ヤード。エレコム神戸はFGを狙わず、ギャンブルを選択したが、IBMが守り切った。

首の皮一枚でつながったIBMは残り3分からQBにケビン・クラフトを投入、連続でパスを成功させてゴールに迫った。エレコム神戸はエンドゾーンまで9ヤードのサードダウンで、DBショーン・ドレイパーがクラフトをサックして逆転TDを阻止。IBMはK佐藤敏基が残り15秒で同点のFGを決め、10-10で延長タイブレーク(TB)に突入した。

TB1回表、先攻のIBMはファーストプレーで、QBクラフトがフラットゾーンのRB高木稜にパスを投げるが、タックルを受けてファンブル、リカバーを許す。エレコム神戸は1回裏のオフェンスで得点すれば勝利だったが、ボールをほとんど進められず、フォースダウンの40ヤードFGトライも、失敗する。

 TB2回表、先攻のエレコム神戸は、QB糟谷のパスがIBMディフェンスのパスインターフェアを誘い、ゴール前10ヤードからの絶好のチャンス。しかしセカンドダウンで糟谷が狙ったパスをIBMのDB小林達真がインターセプトして、オフェンスを断ち切った。その裏、IBMは末吉のランでボールを進めると、佐藤が34ヤードのFGを決めて、接戦に終止符を打った。

【IBM vs エレコム神戸】第3クオーター、エレコム神戸QB糟谷からWR芦田に57ヤードのパスが通り一気に敵陣へ

【IBM vs エレコム神戸】第4クオーター52秒 、IBMのRB末吉が同点のTD

「狙われた男」意地のインターセプト

最後の最後まで、どちらが勝つかわからない手に汗握る展開。しかし、数年前のベストセラー書籍風に言えば「やってはいけない」ミスが満載の、内容的にお世辞にも好ゲームと言えない戦いだった。

そんなゲームのヒーローとなったのが、IBMのDB小林だ。延長タイブレークの2回表に、エレコム神戸のQB糟谷のパスをエンドゾーン直前で見事にインターセプトした。

小林と言えば第1節、東京ドームでのオービック戦で98ヤードのインターセプトリターンTDという、IBMに勝利をもたらす値千金のビッグプレーを見せた男だ。しかし、小林は、この試合では狙われていた。第3クオーター、エレコムの先制TDパス、タイブレーク2回目のパスインターフェアランスは、マンカバーしていたのは小林だったのだ。

IBMのDB陣は近年、戦力強化が目覚ましい。主将の中谷祥吾は関大、保宗大介は関学大、宮川周平は法大、寺中健吾は早大と、関西・関東の強豪大学出身選手が揃う。小林は成城大の出身だが、在学中は関東3部で、春のオープン戦を除けばトップチームとの対戦も経験したことがなかった。IBM入部後、練習を欠かさず、スカウトチームにも参加するなど、持ち前の真面目さと積極性で他の選手たちと伍してきた。しかし昨年まで通算で1インターセプト、昨年シーズン終了後には引退も考えていたほどだ。

小林は「今日は狙われていた」と振り返る。タイブレーク2回表のパスではWR常包健二に外を抜かれかけて、右手で捕球を邪魔してパスインターフェアを取られた。そして、ランをはさんだ後のプレーだった。レシーバーは同じ常包で、「外から中に入ってくるパターン。スカウティング(で見たビデオ)では、エレコムがかなりこのパターンをやっていたのに、この試合の中ではなかなかやってこなかった。あの瞬間は『ついに来た』という感じだった」という。捕られていれば、おそらくTDだったパスを、常包の前に入り、がっちりとつかみ取った。

小林は、糟谷に狙われて通されたパスでも「どのパスでも、あと一歩だなと思っていた。そこまで派手にやられている感はなかった」という。

オービック戦のビッグプレーは素晴らしかったが、インターセプト自体は、DLのジェームス・ブルックスがオービックのQB菅原俊に強烈なプレッシャーをかけたため、コントロールを失ったボールが飛んできたという面もあった。エレコム神戸のサイドラインと、関学大出身のQB糟谷は、冷静な戦力判断として小林を狙ったのだろう。それは間違っていたとは言えない。ただ「窮鼠、猫を噛む」ということが最後に起きた。

オービック戦のビッグプレーは、幸運もあった。しかし、チームが何度も敗戦の瀬戸際まで追い込まれたこのゲームで決めたインターセプトは、もっと大きな価値があった。正真正銘、小林が自分の力でつかみ取ったものだからだ。今後、IBMと闘う相手は、もうこの男を舐めることはできないだろう。【小座野容斉】

【IBM vs エレコム神戸】延長タイブレーク2回表、エレコム神戸WR常包へのパスインターフェアランスを取られたIBMのDB小林

【IBM vs エレコム神戸】第4クオーター、IBMのQB政本がボールを持った左手をパンチングし、ファンブルを誘ったエレコム神戸DL小林

【IBM vs エレコム神戸】第4クオーター、IBMのQB政本がファンブルしたボールをエレコム神戸DLペースがリカバー

【IBM vs エレコム神戸】第4クオーター、エレコム神戸は、RBカンザリが24ヤードを走って、レッドゾーンまで侵入

【IBM vs エレコム神戸】延長タイブレーク1回表、ボールをファンブルした、IBMのRB高木.jpg

【IBM vs エレコム神戸】エレコム神戸ディフェンスの厳しいマークにあい、パスキャッチ1回にとどまったIBMのTEスタントン。

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事