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2017-09-26

新戦力活躍、LIXILがアサヒビールに快勝

Xリーグは9月24日、富士通スタジアム川崎で、第3節のLIXILディアーズ対アサヒビールシルバースターの一戦が行われ、LIXILが今季加入のRB白神有貴の活躍などで、アサヒビールに37-7で快勝し、2勝1敗とした。敗れたアサヒビールは1勝2敗となった。

【LIXIL vs アサヒビール】力強いタテへの突進でラン166ヤード2TD※を挙げ、LIXILオフェンスをけん引したRB白神

LIXIL〇37-7●アサヒビール

先制したのはLIXIL。QB加藤翔平のクイックリリースのパス、RB白神のランでリズム良く攻め込むと、QB加藤からWR前田直輝へ33ヤードのタッチダウン(TD)パスが決まった。LIXILは第1クオーター11分にもRB前川真一のランでTD、第2クオーター10分にはK青木大介が46ヤードのフィールドゴールを見事に決めて、17-0として後半へ折り返した。

後半最初のオフェンスシリーズで、アサヒビールはQB安藤和馬がパスを重ねて、ゴール前に肉薄。エンドゾーン奥のエースWR林雄太にTDパスを決めて追いすがった。さらにアサヒビールは次のドライブでも、29ヤードを進んだがLIXILディフェンス陣の踏ん張りでパントに追い込まれた。LIXILはこの機を逃さず、RB白神有貴が22ヤードのTDランでアサヒビールを突き放した。白神はこの後、第4クオーターにもう1TDを奪い、勝負を決めた。

LIXILは昨年来スロースターターで、序盤に続けさまにTDを奪われるような展開が多かったが、この日は序盤で2TDを奪って主導権を握ると、後半はアサヒビールのフォースダウンギャンブル失敗やインターセプトの後のオフェンスで必ず得点して、相手の傷口を広げた。アサヒビールは、RB柳澤拓弥のランをほぼ完全に封じ込まれ、後半は安藤のパスオフェンスで勝機を伺ったが、決め手を欠いた。また、アサヒビールの新米国人選手は、この日も「Not Active」で姿を見せなかった。

(撮影/取材:小座野容斉)

【LIXIL vs アサヒビール】OLのセンターとして初先発のLIXIL山田(中央)。東大時代からタックル専門でセンターをプレーしたのは2試合目だが、231ヤードのラン攻撃を支えた

RB白神、C山田 ニューパワーでラン炸裂

フットボールでは戦力は互角の2チームの対戦が必ずしも接戦になるとは限らない。その典型のようなゲームで勝敗を分けたのはエースRBのパフォーマンスだった。アサヒビールの攻撃のキーマンだった柳沢は、序盤からLIXILディフェンスの激しいマークでわずか14ヤードに封じ込まれた。一方、LIXILは新加入のRB白神が、166ヤード2TD※の活躍を見せた。特に、両チームの選手に疲れが出る第3クオーター終盤から第4クオーターにかけ、力強い走りでビッグゲインを連発した。ディアーズのランは231ヤードで、QBサックのロスを除いたアサヒビールのラン14ヤードを大きく上回った。

白神は「OLが良いブロックをしてくれた。前の試合までは、ブロックをちょっと見過ぎていたという反省があったので、今日は勢いと思い切りの良さを意識して走った」という。とはいえ「自分はまだまだ粗削りなところがある。ディアーズのランは、OLとRBが意識を統一して遂行する。そこが自分にはまだ欠けている」と分析する。

白神は今春アサヒ飲料チャレンジャーズから移籍してきた。172センチ85キロで、直線的なタテ突進が持ち味の武骨なRBだ。大阪府立大学在学中は3年まで関西学生3部、最終学年で2部に昇格し、優秀選手として表彰も受けたが基本的には無名の存在だった。アサヒ飲料に入団後、すぐにエースRBとして頭角を現し、2015年には645ヤード7TDでXリーグ全体でラン2位、昨年は373ヤードで西地区のリーディングラッシャーにもなった。

「自分には、アサヒビールの柳澤選手とか、IBMの末吉選手のようなサイズはない。かといって、IBMの高木選手のような鋭いカットを切れるタイプでもない。直線的なスピードで、無駄なカットを踏まずに思い切りいってタックルを外すというのが自分の持ち味」という。第4節以降で続く他地区の強豪との対戦には「ドライブするということはもちろん大切だが、狙えるところではTDまでもっていかないと、勝負の展開として厳しい。一発で持っていけるような、常にTDを狙う気構えで走力を磨いていきたい」と決意を語った。

ディアーズのランを支えたヒーローはもう一人いる。OLの山田広大だ。山田は、C(センター)として初スタメン、190センチ123キロの巨体からパワフルなブロックを繰り出した。山田は、東京大学出身の2年目で大学時代は終始T(タックル)でプレーしていた。LT中村洸介が負傷でCの笠井公平がTに回ることになり、山田に声が掛かった。「Cをプレーしたは、9月10日の警視庁戦が人生で初めて」だった。その試合後すぐに、アサヒビール戦でのC起用が決まった。「このチームに入った時は、(日本代表の)荒井(航平)さん、笠井さんがいるので、自分がCをやるなんて思ってもみなかった」という。

大型のDLがそろうアサヒビールに対しても「力負けはしていなかったと思う。結構押せているなという印象があった。パスプロも、それほど洩れているという話はされなかったので、全体的には良かったのではないか」と語った。「Tが楽しいと思っていたが、ここ2週間くらい、Cも面白いと思うようになってきた」という山田。ディアーズ伝統の大型ラインを支える新たな星となりそうだ。【小座野容斉】

※9月26日、Xリーグが公式記録を訂正し、白神選手のランを189ヤードから166ヤードとしたため、記事中の数値を変更した。

【LIXIL vs アサヒビール】第1クオーター2分、LIXILのQB加藤がWR前田へ先制のTDパスを決める

【LIXIL vs アサヒビール】LIXILのQB加藤からショベルパスを受けたWR宮本がゴールに迫る

【LIXIL vs アサヒビール】アサヒビールのエースWR林を食い止め、ファーストダウンを許さなかったLIXILディフェンス陣

【LIXIL vs アサヒビール】第4クオーター7分、LIXILのRB白神が31ヤードを走ってTD

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