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2024-08-22

リオ、東京の連覇とパリの途中棄権。それでもキプチョゲは走り続ける。マラソンを志す日本のランナーへのメッセージは「規律あるトレーニングと正しいシューズ選びが大切」

パリ市内のナイキ アスリート ハウスでインタビューに応じたキプチョゲ

オリンピック男子マラソン2連覇のエリウド・キプチョゲ(ケニア)は、パリ・オリンピックでは途中棄権に終わった。

走ることへの情熱は変わらず持ち続けている。レースの翌日、パリ市内のナイキ アスリート ハウスで日本メディアのインタビューに応え、今後も走り続けること、競い続けることを明言。

パリでのことを振り返りながら、オリンピック過去2大会との違い、ナイキのシューズの進化と自身の進化、今後のターゲット、マラソンを志す日本のランナーへのメッセージについて「走る哲学者」が穏やかな口調で語った。

スポーツというのは予測不可能

――3度目のオリンピックのマラソンは途中棄権(30km過ぎ)となりましたが、腰痛が原因とのことですが、改めて棄権した理由を聞かせていただけますか。

キプチョゲ:今回のレースは本当に厳しかったです。この3~4カ月間、非常に制約の多い中でしたが良いトレーニングをしてきました。しかし、今回は昨日の結果の通りうまくいきませんでした。結果的に途中棄権しました。スポーツというのは本当に予測不可能です。今、何を言ったらいいのか分かりませんが、これがスポーツというものです。

――優勝した2016年リオ、2021年東京の2大会とパリはどんな違いはありましたか。

キプチョゲ:リオは私にとってオリンピックのスタートでした。東京はCovid19の影響で少し厳しかったです。しかし、今回のパリには大きな変化がありました。いろんな方々が私に話しかけてくれたり、交流したり、周りで応援することができたからです。毎回、みんなが応援してくれて、まさにコースも含めて私たちと観客すべてが⼀体となった感じがありました。

――キプチョゲ選手はナイキのシューズの進化とともに自身も進化してきました。キプチョゲ選手がシューズに求めるものは何でしょうか。

キプチョゲ:ナイキのシューズは私たちを大いに前進させてくれました。私たちの貢献とテストによって、得られるメリットも少なくありませんが、何よりも走ることを楽しんでいます。私個人としては、ナイキのシューズのテクノロジーとともに進化してきたと思っています。ナイキのシューズは、この10年間で多くのテクノロジーが詰め込まれており、それは私たちにとってプラスです。私は、ナイキの未来が明るいことを確信しています。特に、ラボからの科学的なインサイトに基づいているので、私たちがより速く走れるシューズをつくり、ランを長く楽しめるものを提供してくれることを期待しています。

――今後、ナイキ アルファフライ 3と共に、どんな目標を成し遂げたいと思いますか。

キプチョゲ:私が達成したいのは、とても速く走り、速く回復することです。

――今後のターゲット、モチベーションなど、うかがえれば教えてください

キプチョゲ:まだ走り続けたいです。そしてまだ競い続けたい。南米などマラソンが行われていない場所へ行き、スポーツを愛する人々と⼀緒に走り、メッセージを伝えたいからです。


リオ五輪(左)と東京五輪(右)の男子マラソンで連覇

ランニングは人生そのもの

――トラックからマラソンに挑戦しようとしている日本の若いランナーたちにアドバイスを送るとしたら、何が大事だと伝えますか。

キプチョゲ:マラソンは走ることがすべてです。トラックからマラソンへは非常に大きな転換です。マラソンはトラック競技と比べてゆっくりしたペースですが、その分、長く走らなければなりません。トレーニングももちろん重要ですが、完走もとても大事です。そして、ナイキのシューズのような良いシューズを選ぶことが最善の方法です。

私は、走ることに情熱を持っている日本のランナーたちに一つだけアドバイスしておきたいことがあります。ほとんどの日本のランナーが舗装路で走っていますが、アルファフライ 3のようなインパクトを吸収してくれる良いシューズを使ってください。あるいは、ペガサス プレミアム(来年発売予定)のようなシューズを履いて、規律あるトレーニングで、舗装路でとにかく練習を続けることです。

私のアドバイスは、規律あるトレーニングと、それに相応しいシューズを選ぶことです。そうすれば、衝撃を吸収し、正しいエネルギーを得ることができるでしょう。

――日本のランナーへメッセージをお願いします。

キプチョゲ:私からの日本のランナーへのメッセージは、ランニングは人生そのものだということです。勝つことだけがすべてではなく、達成することがとても大切です。そして、その達成感を人生やトラック外の世界にも反映させることが重要です。日本のランナーたちがそのことを理解してくれることを願っています。


ルーブル美術館のピラミッド前を走るキプチョゲ(中央)

Eliud KIPCHOGE
1984年11月5日、ケニア生まれ。39歳。オリンピックは2004年アテネ大会の5000mで銅メダル。2008年北京大会の5000mで銀メダル。マラソンに転向し、2016年のリオ大会、2021年の東京大会と2大会連続で金メダルを獲得した。パリ大会は途中棄権。

代表撮影:JMPA

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